皇位継承問題がやっと政治の場で動き始めたかと思いきや、いきなり視界不良状態に。
衆参正副議長の呼び掛けで全党派が一堂に会した協議が毎週持たれ、先の国会の会期末をメドに
合意を図るはずが、僅か2回で頓挫。その後は議長らが個別に各党派の意見を聴取していた。
それが一区切りついて、去る8月7日に衆参議長らが中間報告の記者会見を開いた。
案の定、個別意見聴取を始める前、全体協議を始める前から、ほとんど1ミリも前進が見られない。当たり前だ。
それぞれ各党派が意見を言いっ放しに言うだけで、互いに合意を探るやり取りが行われていない。こんなやり方をいくら繰り返しても、時間の無駄だろう。
上皇陛下のご譲位を可能にした皇室典範特例法の時のやり方から少しは学んではどうか。
記者会見によると、主な論点への各党派の対応は以下の通り。
①天皇陛下から秋篠宮殿下、更に悠仁親王殿下へという現在の皇位継承の流れはゆるがせにしてはならない、という点ではほぼ合意が成立している。
②内親王·女王が婚姻後も皇室に残られる場合、配偶者とお子様を国民にするプランについては意見が分かれる。
③旧宮家プランには根強い反対がある。
ここで特に気になるのは①だ。
既に繰り返し指摘して来たように、今の皇位継承順序は安定的な皇位継承を不可能にしている“構造的な欠陥”を抱え、まさに是正を求められているルールによって規定されたものだ。
従って、その順序を動かさない範囲内でどれだけ検討しても、皇位継承の安定化は決して望めない。
しかも、秋篠宮殿下のご年齢を考慮すれば不測の事態でも起きない限り、実際に即位されることは想定しにくい。
又現に、これまでも詳論して来たが、殿下ご自身も即位するおつもりはないと拝察できる。今の皇位継承順序を秋篠宮家押し付けることは、ジェンダー平等を目指しておられるご一家の価値観とも、衝突する。
①に対する国民の声を、集中的に政治の場に届けよう。それは②③に対しても前向きな波及効果を期待できるはずだ。