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  • 執筆者の写真高森明勅

天皇陛下、大学院時代に「革が剥げたバッグ」ご愛用の質素さ




6月9日は天皇・皇后両陛下の29年目のご結婚記念日。

心からお祝い申し上げる。


これにちなんで、両陛下をめぐる逸話をいくつかご紹介したい(『文藝春秋』令和元年11月号、証言者の肩書きは当時)。



「私は10年間(理髪師として)陛下に直接触れさせていただいたからこそ、ご自分の不調を声に出さない辛抱強さを知っております。これまで、陛下が心とお身体を維持されてこられたのは、

どんな時でもウィットに富んだ笑いを愛する陛下のご性格によるものかもしれません。


私との会話の中でも、かぐや姫の『神田川』の歌詞で『石鹸がカタカタ鳴った』というところがいいですね、とおっしゃるので『殿下(当時)にもおわかりですか』とお聞きすると、『それはわかりますよ。ロンドンでも大分寒い思いをしましたからね』とおっしゃいました」(理髪師、大場隆吉氏) 



「(皇后陛下が新人として外務省に入省された)当時外務省では、入省1年目は清書やコピー取り等の仕事をするのが通常でしたが、雅子様は、環境問題に関するルール作りの担当者として既に活躍されていました。…私は雅子様を指導する立場にありましたが、英語を母国語のように操る雅子様には、いつも英語の文章を直してもらっていました」(外務事務次官、秋葉剛男氏)



「(英国ご留学当時)浩宮(ひろのみや)さま(天皇陛下)にはほのかに憧れていたクラスメイトがいた。ノルウェーの聡明な人。ある時、『(同伴が必要な)パーティーの誘いの手紙を出したら、行ってくれるとの返事があった』とうれしそうにされていた。理想のお妃(きさき)像を尋ねたところ、『ティファニーであれやこれやと買い物をする人では困ります』ときっぱり」(元時事通信社常務取締役編集局長、八牧浩行氏)



「天皇陛下が大学院に通われていた頃、学習院OB管弦楽団の方から(イタリアン・カフェ・レストラン“マックス・キャロット”に)団体の予約が入りました。その直後に皇宮警察から私の身元を証明する書類がほしいと連絡が続いたので、ピンときました。



学習院キャンパスから近い目白の店ですから、皇族の方がいらしたことはありますが、ここまでされたのは初めてです。『ついに浩宮(ひろのみや)さま(天皇陛下)がお見えになるんだ』

と気が引き締まりました。…(天皇陛下の)バッグをお預かりしたとき、手が触れる部分の革(かわ)が剥げるほど使い込まれていたので驚いたことがあります。お妃候補が話題の時期に『金銭感覚が自分と同じ人』とおっしゃったのを聞いた瞬間、あのバッグを思い出しました」

(マックス・キャロット元店主の坪井明人氏)


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