• 高森明勅

憲法の“柱”―「象徴天皇」と民主主義の調和をどのように図るか


天皇制と民主主義

日本国憲法は、普遍的な民主主義(国民主権)を採用する一方、わが国独自の「象徴天皇」を巡る制度を、重要な柱にしている。

両者の調和をどのように図るべきか。


皇室からのご回答の1つは次のようなメッセージだろう。


「民主主義の時代に日本に君主制が存続しているということは、天皇の象徴性が国民統合のしるしとして国民に必要とされているからであり、この天皇及び皇室の象徴性というものが、私どもの公的な行動の枠を決めるとともに、少しでも自己を人間的に深め、よりよい人間として国民に奉仕したいという気持ちにさせています」(平成10年5月12日、イギリス・デンマークご訪問前の 記者会見での上皇后陛下のご発言から)


「国民統合の象徴たるべし」という(生身の人間にとって)至難な憲法の規範的要請に対して、誠実かつ懸命に応えようとされているご姿勢が、はっきりと伝わる。しかもそれを、これまで全身全霊で実践して来られた揺るがぬ事実がある。これに対して国民の側は、皇室の方々のご献身に見合った(とまでは行かなくても、せめて恥ずかしくない)、どのような“応答”を用意しているのか。

国民が自らを省みることなく、ひたすら皇室への“注文”ばかりをエスカレートさせるようでは、「象徴天皇」を巡る制度はやがて、存続できなくなるのではないか。


次回のゴー宣道場は「憲法記念日」の5月3日に大阪で開催される。ゲストは評論家の宇野常寛氏。憲法と皇位継承の行方などを巡り、真剣かつ自由闊達な討議を楽しみたい。


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