1月14日、立憲民主党の「安定的な皇位継承に関する検討委員会」(委員長・野田佳彦元首相)の第1回会合。
各メディアで報じられた。
例えば―
「検討委事務局長の馬淵澄夫国対委員長は会合後、今後の皇室のあり方に関する政府の検討結果について『皇位の安定継承について事実上の白紙回答だ』と批判。
政府の検討結果に盛り込まれた旧宮家の男系男子の養子縁組による皇復帰籍(正確には取得)案に対しても『特権的に皇族の身分を与えるのは憲法で禁じた門地(家柄)による差別にあたる』
と指摘した」(毎日新聞、1月14日、16時50分配信)
正論であり、心強い対応だ。
この際、皇室と国民の憲法上の“区別”についてシンプルに整理しておく。
皇室=憲法第1章、国民=同第3章
皇室の方々(天皇・上皇・皇族=皇統譜に登録)は憲法第1章が“優先的”に適用される。
よって、第3章に禁止規定がある「門地による差別」や「性別による差別」(第14条第1項)などが(第1章の象徴制・世襲制に必要とされる範囲内である限り)そのまま該当することは“ない”、というのが、憲法それ自体の建て付けだ。
一方、旧宮家系子孫を含む国民の中の「皇統に属する男系の男子」(戸籍に登録)は皆さん当然ながら“純然たる国民”なので、憲法第3章の全面的な適用を受ける。
だから、そこで禁じられた「門地による差別」「性別による差別」などは許されない。
更に付け加えておくと、皇室と国民の“中間”の存在は、単に憲法が想定していないだけでなく、「貴族」制として明確に禁じられている(第14条第2項)。
この点を頭に入れておけば、有識者会議報告書の欠陥や、先の記事中での馬淵議員の発言の意図が、理解しやすいだろう。
時たま、「門地による差別」なんて問題視していたら皇室の存在そのものが否定される、などと上記の“区別”がまるで理解できていない頓珍漢な発言を見かけるので、念の為に。