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  • 高森明勅

野田佳彦元首相の危機感と「愛子天皇待望論」への支持


野田佳彦元首相の危機感と「愛子天皇待望論」への支持

『文藝春秋』令和4年1月号に「愛子天皇は実現するか」という記事が掲載されている。

元首相の野田佳彦氏、元内閣官房副長官(事務担当)の古川貞二郎氏、東京大学史料編纂所教授の本郷恵子氏による座談会だ。

その中からいくつかの発言を抜粋して、紹介する。


《野田氏の危機感》


野田氏 「皇統の危機はまさに(側室制度が無く、非嫡系による継承が排除されたにも拘らず) 男系男子(限定)による継承に根源的な原因があります。 今こそ広く議論すべきなのに、この問題については無関心な政治家が多く、 真剣な議論がなされていません。『このままでは日本から皇室がなくなってしまう』 とすごく危機感を抱いています」


《悠仁殿下のご結婚相手は?》


本郷氏 「現状で(皇位継承資格の)男系男子(限定)を守り続けた場合、さまざまな困難が予想されます。悠仁さまに嫁いだ妃殿下は、必ず男子を生まなければなりません。皇統の存続にかかわるわけですから、その精神的負担たるや想像を絶するものだと思うのです。そうなると民間からのお妃選びは大変」


野田氏 「果たして、自分の娘を嫁がせようとする親御さんがいるのか。自分の家庭に置き換えて考えてみればわかることですが、娘を送り出す勇気は出てこないと思うんです」


《女系天皇も欠かせない》


古川氏 「女性天皇を認めるだけではダメなんですね。女性からお生まれになった方は男性でも女系。だから女系天皇を認めないのであれば、それは皇統を一代延ばすだけで終わってしまうからです」


野田氏 「奈良時代の元正天皇は、父方の祖父が天武天皇で、母親が元明天皇という女性天皇なのですね。 そのため歴史上、唯一の女系天皇と主張する人がいます。これに対して男系論者は、父が草壁皇子なので男系女子だと主張する。裏を返せば、『万世一系で126代ずっと男系男子で継承されてきた』という主張も解釈を差し挟む余地があるということなのです」


《旧宮家案は壁に突き当たる》


古川氏 「男系論者は、女性・女系容認の代わりに『旧宮家(系子孫)の皇籍復帰(正確には取得)』の案を主張することが多いですね。…しかし、小泉(純一郎)首相の下で典範会議(皇室典範に関する有識者会議)がこの案をとらなかった最大の理由は、直(男)系男子に限るかぎり、(側室制度が無く、非嫡系による継承が排除された以上)この案も早晩、いま直面している継承者減少の問題と同じ壁に突き当たることになるとわかったからです。つまり…皇位の安定継承策にならないわけです」


本郷氏 「(旧宮家系男性は)実に70年以上の月日を民間人として過ごされてきたとあっては、国民にとっても遠い存在になっているのではないかと」


野田氏 「旧皇族の方(正確には旧宮家系男性で皇族だったことがない人)が復帰(皇籍取得)したとしても、果たして国民は、他の皇族と同様に受け入れられるのか疑問に思います」


《1つの世帯に皇族と国民?》


古川氏 「(現在の有識者会議が目指している制度のように)1つの家庭の中で皇族がいて、その配偶者は民間人とすると混乱するのは目に見えています。複雑な制度にしたら国民に伝わらない。ましてや皇族方ご本人たちも納得できないと思うのです」


《愛子天皇待望論》


野田氏 「最近は国民の間でも『愛子天皇待望論』が話題になっていますが、私はそれも選択肢だと思います。…早急に決めないといけませんね。愛子さまは成人されたのに、『将来、天皇になるのか』 『結婚したら民間人になるのか』と全く異なる2つの進路がまだ開かれている状況です。あまりにお辛いと思います」


野田氏らの危機感は本物だろう。

座談会での各氏の意見は、私がこれまで示して来た「論理」と多く重なる。

中には、恐らく私しか主張していないメッセージも、含まれているようだ。

有難い。


論理が匿名化し、どんどん広がって当然の常識になって欲しい。

なお同誌に載っている、皇后陛下のご出産をお支えされた山王病院名誉院長、堤治氏の手記「愛子さま20歳『ご誕生の瞬間』」は感動的だ。

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