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自民党が女性皇族の結婚相手選びに権力的に介入するプラン?

  • 執筆者の写真: 高森明勅
    高森明勅
  • 4月25日
  • 読了時間: 3分

自民党が女性皇族の結婚相手選びに権力的に介入するプラン?

皇族数の減少に”目先だけ“の歯止めをかける方策について、自民党が立憲民主党との合意に向けて、修正案を検討しているという(共同通信、4月24日午前6時配信)。


内親王·女王が結婚される場合、お相手が旧宮家系子孫男性だった時だけ、限定的に配偶者とお子さまは皇族の身分にする、というプランらしい。

しかし、これは明白な憲法違反なので、アウト。


国民の中に、内親王·女王との結婚によって“皇族になれる国民”と、“皇族になれない国民”の線引き(!)をする。その線引きの根拠は、旧宮家系か、そうではないか、という家柄·血筋=門地だ。


よって、憲法(第14条第1項)が禁じる「門地による差別」そのもの。どう考えても憲法違反なので、立憲主義を党名に掲げる立憲民主党が同意できる余地はないはずだ。


憲法は、皇室と国民の間に線引きすることや、皇室の中に線引きすることは、認めている。その一方で、国民の中に線引きすることは認めていない。

それが国民平等の原則だ。


この度の自民党の修正案(の手前か?)も、旧宮家養子縁組プランと同じく「門地による差別」に当たり、憲法違反でアウト。

なお、今の制度では国民男性が女性皇族と結婚しても皇族になれない一方、国民女性が男性皇族と結婚した場合は皇族になれる。

これも、憲法が禁じる男女の違い=性別による差別ではないのか、と早合点する人がいるかも知れない。


そこから開き直って、皇室に関わる場面では、こんな男女差別が特例として許されるなら、自民党修正案や養子縁組プランも、同じように許されるのではないか、と結論を飛躍させる論者や、それに丸め込まれる単純思考の国会議員も、残念ながら一部にいるようだ。


しかし、それは国民の中に線引きをする制度ではない。皇室の中(!)で、皇位継承資格を巡って男女の間に線引きをした結果(反射的効果)として、そのような違いがもたらされているに過ぎない。


従って、国民の中に線引きしようとする先の修正案や養子縁組プランとは、もちろん同列に扱うことはできない。この点、勘違いをすべきではない。


又、修正案は旧宮家系男性と結婚しない限り、「家族は同一の身分」という近代家族として当たり前の在り方を“認めない”という仕組みなので、事実上、内親王·女王の結婚意思をそちらの方向に誘導ないし強制する内容になっている。


憲法違反にとどまらず、皇族数確保策の看板のもとで、当事者でいらっしゃる皇族方の人格の尊厳を踏みにじり、他人の人生を“将棋の駒”のように扱う、非人道的なプランと言う他ない。

▼追記

今月のプレジデントオンライン「高森明勅の皇室ウォッチ」は4月25日に公開。


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