• 高森明勅

皇位の安定継承への対応を考える時に共有すべき前提3点とは?

皇位の安定継承への対応について、いつまでも不毛な堂々巡りを繰り返す訳にはいかない。

そこで、前提として共有されるべきポイントを3つ掲げておく。


旧宮家案は除外


①旧宮家案は既に政府の選択肢から除外されていると見られる。

これは、7年8カ月に及ぶ安倍一強政権下で、この方策が全く動かなかった事実を見れば、明らかだ。


しかも当時の安倍首相自身が、GHQによる旧宮家の皇籍離脱の決定を覆すことは「全く考えていない」と明言している(平成31年3月20日、参院金融財政委員会)。


更に政府は、旧宮家案の前提として欠かせない“当事者への意思確認”は行わない旨、繰り返し国会で答弁している(最近では加藤勝信官房長官の令和3年6月2日の衆院内閣委員会での答弁)。

これは、皇族ではない(皇統譜に登録されず戸籍に登録されている)


皇統に属する男系の男子(これらの人々が憲法第3章〔国民の権利及び義務〕の適用対象者であることは、令和3年2月26日の衆院予算委員会・第1分科会で近藤正春内閣法制局長官が確認した)が、皇族とのご婚姻によらずに皇籍を取得することは、憲法が禁じる「門地による差別」(第14条)に当たることを配慮している為だろう。


現在の継承順位を前提とせず


②皇位の安定継承を目指すこの度の検討において、“今の皇室典範での継承順位”が前提になっているのか、どうか。

この点について、政府は次のような答弁書を示している(令和3年4月20日付)。


「(上皇陛下のご譲位を可能にした特例法の附帯決議に示された課題について)予断を持つことなく議論していただきたい」と。

山尾志桜里衆院議員の質問主意書に答えたもの。

これは、現在の継承順位を前提に“しない”ことを、誤解の余地なく明らかにしている。

これによって、私がかねて主張して来たゼロベースの検討が可能になる。


憲法は女系天皇を容認している


③憲法は皇位の「世襲」を規定しているだけで、“男系男子”という縛りは設けていない。

言い換えると、憲法上、女性・女系天皇は可能ということ。

これが憲法学界の通説であり、政府の一貫した見解だ。

念の為に内閣法制局の執務資料から引用すると、以下の通り。


「憲法第2条は、皇位が世襲であることのみを定め、それ以外の皇位継承に係ることについては、全て法律たる皇室典範の定めるところによるとしている。


同条の『皇位は、世襲のものであつて』とは、天皇の血統につながる者のみが皇位を継承することを意味し、皇位継承者の男系女系の別又は男性女性の別については、規定していないものと解される。


したがって、皇位を世襲とする限り、憲法を改正しなくても、皇室典範を改正することにより、女系又は女系の皇族が皇位を継承することを可能とする制度に改めることができる」


以上の3点は、私個人の考え方ではない。

政府がこれまでに表明して来た見解だ。

これらの3点を前提にする限り、普通の思考力さえあれば、自ずと正解は見えてくるはずだ。