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  • 執筆者の写真高森明勅

皇位継承、現行制度下での将来

更新日:2021年1月23日


皇位継承、現行制度下での将来

今の制度がそのまま維持されたら、皇位継承の将来はどうなるか。敢えて、比較的可能性が高いと考えられる予測を、試みてみよう。天皇陛下がご高齢になられ、譲位をなさる場合。現在は皇嗣でいらっしゃる秋篠宮殿下も、(陛下より僅か5歳お若いだけなので)既にご高齢になっておられる。


そこで、皇室会議の議決によって、皇位継承の順序を変更し、現在は継承順位が第2位の悠仁親王殿下が即位される(皇室典範・第3条)。この流れだと、悠仁殿下はほとんど「皇嗣」の期間が無いまま、いきなり即位されることになる。皇嗣として、皇太子に準じるお立場で、皇室祭祀に携わったり、重要なご公務に当たられたりしないで、そのまま天皇におなりになる。


これは、ご本人にとっても、祭祀・ご公務の継承の面でも、かなり無理な形ではあるまいか。そうかといって、前にも指摘したように、ご壮健な天皇陛下が、弟宮を早く即位させる為に譲位されるというのは、“国民の為に”譲位を願われた上皇陛下のお考えや、今回のご譲位の趣旨と違って来る。


率直に言って、恣意的な印象を拭えないだろう。それに加えて、いわゆる「二重権威」の懸念が強まる。従って、悠仁殿下は事実上、皇嗣を経ないで即位される可能性が高い。


その悠仁殿下が、ご即位の時点で既に結婚されていらっしゃるか、どうか。

その頃には内親王・女王方は恐らく、ご結婚により、国民の仲間入りをされていらっしゃるはず。だから、お若い皇族は悠仁殿下お1方だけ。そのような状況では、畏れ多いことながら、ご結婚のハードルは、通常の場合の困難さ以上に、高くなってしまう。


悠仁殿下が未婚のまま即位されると、ご結婚はより一層、至難になる。万が一、悠仁殿下が生涯、独身で通されると(戦後では桂宮の例があった)、皇室はもうそれだけで、消滅の危機を迎える。そうではなく、ご結婚の上、更に男子(複数?)に恵まれられた場合でも、危うい“綱渡り”状態は続く。


以上は、ことさら悲観的な予測を述べたものではない。今の制度を維持したとして、可能性が高そうな事態を想定すると、こうなってしまうということだ。


それでも政府・国会は、皇室典範の改正を、もっと先延ばしできる、と考えるのだろうか。


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