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執筆者の写真高森明勅

立皇嗣の礼は延期へ


立皇嗣の礼は延期へ

立皇嗣の礼は延期へ


私は4月9日に、「立皇嗣の礼は延期すべきか?」とのブログを公表した。


「内閣がその重要性を理解しているならば、儀式の延期を決断するのが至当ではあるまいか」と。


その翌日、早速、政府が延期への調整を始めたことが報じられた。

こうした報道が一旦出た以上、もう延期する以外に選択肢はない。

当たり前の判断ではあるが、少し安堵した。


しかし、それに併せて、皇位の安定継承を巡る「本格的な検討」まで“延期”するとの報道もある。これはおかしい。


元々、政府が立皇嗣の礼を「皇位継承に関する最後の儀式」と位置付けていることは、旧皇室令に照らしても、前近代の歴史を顧みても、およそ妥当性を欠く。又、敢えて国会の附帯決議を軽んじてまで、同儀式の“後”に検討を始めなければならない、客観的な根拠はどこにも無い。


もっと言えば、直系の皇嗣(皇太子・皇太孫)と傍系の皇嗣(皇太子・皇太孫でない皇嗣)を厳格に区別し、格差を設けている皇室典範の基本的な考え方(8条・11条2項・17条1項1号・19条・22条)を理解していれば、次の天皇であることが確定している訳では“ない”傍系の皇嗣の為に、前代未聞の立皇嗣の礼という異例の儀式を、内閣の判断で行うこと自体、首を傾げる。


いずれにせよ、皇室典範特例法が施行されて既に1年(!)が経過しようとしている。

附帯決議では「(特例法施行後)速やかに」と要請され、政府も同決議の趣旨を「尊重」するとの答弁を繰り返して来た。


立皇嗣の礼それ自体の延期は当然ながら、そのことを理由に、「検討」までもこれ以上、先延ばしするのは逆に、皇室の政治利用との批判を免れないだろう。

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