• 高森明勅

何故「女性天皇」から目をそらすのか?


何故「女性天皇」から目をそらすのか?


読売新聞(2月16日付)一面トップ「女性・女系天皇 議論せず」との報道は、明らかに政府の思惑に沿ったリーク記事。それにしても不可解だ。ロジカルに考えたら、側室不在・非嫡出の継承否認という条件下で、継承資格を「男系男子」に限定すれば早晩行き詰まるのは、“猿でも”分かる。


何しろ、過去の実例に照らせば天皇の正妻たる方は、“96分の34”(3分の1以上)という高い割合で男子を生んでおられない。しかも、最近の各種世論調査の結果を見ても、女性・女系天皇を認める国民が7・8割を占め、圧倒的に多い。更に、「男系」維持に拘る論者でも、責任ある議論をしようとる場合、女性・女系天皇を“絶対”に排除すべし、との立場の人は殆どいない。例えば、以下の通り。


「万一の場合には、皇統を守るために、女帝さらには女系の選択ということもあり得る」(百地章氏『憲法の常識 常識の憲法』)


「正直に言えば私とて、女性天皇に絶対反対というわけではない。男系継承という道を探して、万策尽きた場合には女性天皇も女系天皇もやむを得ないとは思う」(八木秀次氏『本当に女帝を認めてもいいのか』)


「私は男系『絶対』主義ではなく、男系『優先』絶対主義」(新田均氏、令和元年12月22日、大阪・国民会館での討論会にて)


「『女系継承であれば、もはや天皇ではない』という見解がありますが、私はそういうことは言いませんし、思いません」(宇山卓栄氏『世界史で読み解く「天皇ブランド」』)等。


こうした状況で、政府がことさら、女性・女系天皇を議論の爼上に載せまいとする動機は何か。わざと皇室を滅ぼしたいのでなければ、その選択肢をきちんと取り上げた瞬間に、議論の結論がそこに落ち着く以外ないことが、事前に分かっているからではないか。


国民の多くから孤立した一部勢力の反発を、いまだに配慮して、姑息な誤魔化しと問題の先送りを図っているのか。

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