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今回の参院選での超私的な逸話をいくつか

  • 執筆者の写真: 高森明勅
    高森明勅
  • 7月24日
  • 読了時間: 5分
今回の参院選での超私的な逸話をいくつか

私はこれまで、いわゆる「運動」にはごく僅かに参加したにとどまる。

特に選挙運動に関与した経験はない。


しかし、今回の参議院選挙では少し踏み込んで加わった。例えばビラ配りの手伝い。


街頭演説の場所の1つだった蒲田。

私は生まれて初めてお邪魔した。


その時に、自転車で通り過ぎようとした男性が止まって、声をかけて来た。

「高森先生ですよね。ご著書は読んでいます」と。

又、別に女性からも声をかけられた。「写真を撮らせて下さい」。


それぞれ、私が山尾志桜里候補のビラを配っていることを、Xにポストしてくれた

(女性はビラを掲げる私の写真入り)。それを何万人という人が見てくれた。

街頭で限られた枚数のビラを配るより

効果的だったかも。お2人には感謝。


東中野では、大手シンクタンクの研究員が名刺を差し出して、「先生の御本は読んでいます。

女性活躍というテーマに取り組んでいて、その一環として女性天皇についても学びたいので、

是非ともご指導下さい」と頼まれた。

女性天皇というテーマへの注目が高まっているのは心強い。


池袋では、私の言論に共鳴してくれる2人の女性から声をかけられただけでなく、その1人が持っているスマートフォン越しに、もう1人の女性からも激励を受ける、という珍しい体験をした。


あちこちで、そんな場面が意外と多かった。

私が長年訴えて来た女性天皇への共感の広がりを実感した。

これは他でもない、敬宮殿下ご自身の“輝き”によるところが大きいだろう。


荻窪では、一水会の木村三浩氏が演説前から待っておられた。

私が彼と会うのは久しぶり。

ルールを逸脱しない範囲で差し入れを持参される粋な気配りも。


「女系天皇には反対だけど女性天皇は認めているから」と胸を張られる。

私は少し親しみを込めて「だったら、もう少し啓蒙が必要かな」と軽口を叩いた。

ここでは、山尾候補の前に共産党が街頭演説をしていた。

その時に、猛烈な勢いでビラを配っていたおじさんと、立ち話をした。


「私は党員ではないけど、政策に共鳴してボランティアで手伝っている」と。


こちらは山尾候補の手伝いで来たと自己紹介すると、面白い反応が返ってきた。

「山尾志桜里さん大好き。選挙区は山尾志桜里、比例区は共産党で」と。


彼は口先だけでなく、共産党の街頭演説が終わった後も、山尾候補の演説を最後まで聴いていた。


右翼の木村氏と共産党シンパの地元のおじさんが一緒に、熱心に山尾候補の演説に耳を傾ける。

こんな光景も「中道政治」ならでは、か。


秋葉原では失敗もあった。この時は、漫画家の小林よしのり氏が2度目の応援演説に入っておられた。私は遠い場所でビラを配っていたが、30分間も延々と喋り続けておられる。


これまでの街頭演説では、それぞれの場所でトータル30分をメドにしていた。

それが頭にあったので、肝心の候補者が訴える時間が無くなってしまう、と焦った。


近くのスタッフに「応援演説が少し長過ぎませんか」と尋ねると、「長いですね」との返事。

しかし、高名で多忙な方の好意にすがって応援をお願いした陣営側としては、声をかけづらいだろう。


…と勝手に気を回して、私なら長年の知人としてある程度の無礼も許して貰えるのではないかと、甘えた考えを持った。 それで、事前に長めの演説を山尾候補ご本人が認めていた事実も知らないまま、小林氏の後ろから「そろそろ時間では」と声をかけてしまった。


演説が佳境に入っていたらしく、小林氏は激怒され、私は直ちにお詫びをして引き下がった。

大きな熱情と使命感を持ってその場に臨んでおられたに違いない小林氏に対して、そそっかしく随分と失礼な振る舞いをしたものだと、恥じ入るしかない。


山尾候補の演説終了後、ファンの求めに応じてサインをしておられた小林氏に、再度謝罪をしたが、いたくご立腹の様子だった。


私の“演説妨害”の一幕がネットニュースにもなったようだ。汗顔の至り。


小林氏にはこの場でも、改めてお詫びを繰り返しておきたい。

大変失礼しました。


新宿での街頭演説には、シンガポールの青年と結婚した長女が日本に滞在中で、友達も連れて聴きに来た。


演説を終えて聴衆と握手をしていた山尾氏は、以前に会った娘を覚えていてくれたらしく「演説の最初からずっと聴いてくれて有難う」と声をかけて下さった。


ということは、演説しながら、そこに誰がいるかをちゃんと認識しておられたことを意味する。

さすがだ。


今回の選挙では、実にたくさんの人たちが、私などとは比べものにならない大きな犠牲を払いながら、ボランティアとして支援されていた。その“崇高な戦い”に挺身された方々に、改めて敬意を表する。


山尾氏が不在で、石破茂首相の退陣も視野に入る永田町。“振り出し”に戻った感のある皇位継承問題の行方は、衆参両院共に少数与党というカオス状態の中で、一体どうなるか。



▼追記


7月25日午前8時公開予定のプレジデントオンライン「高森明勅の皇室ウォッチ」は編集部が次のようなタイトルを付けている。「『ゆくゆくは愛子に天皇になってほしい』

そう願う上皇陛下の心を無にした…悠仁さま誕生を利用した政府の罪ー政府は見え透いたトリックで国民を錯覚させた」。


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