以前、読売テレビの「そこまで言って委員会NP」にゲスト出演した時、レギュラー出演者の竹田恒泰氏を問い詰めたことがあった。
答えに窮した彼はこう叫んだ。
「男系じゃない皇室なんて要らない!」と(正確に覚えていないが、大体こんな趣旨だったはず。以下も同じ)。
すると直ちに反応されたのは、俳優だった故・津川雅彦氏。たった一言、「そんなことを言うものじゃありません!」と叱り付けられた。
反論とか批判ではなく、“叱った”と表現するしかない剣幕だった(もちろん論拠もなし)。
驚いたのは、これに対して竹田氏が即座に、「僕は“そんなこと”は言っていません」とキッパリ否定したことだ。
「言っていません」と言っても、スタジオで何台もカメラが回り、他の出演者やギャラリー、スタッフなどみんなが見ている前で、はっきりと“断言”してしまっていた。にもかかわらず、その場で平然と「言っていません」と言い切れる神経に、呆れた(しかもその後、彼は様々な場面で、
自らキッパリ否定したのと同じ趣旨の発言を、当たり前のように何度も繰り返している…)。
私もこれまで生きて来て、世の中には“嘘つき”とか“恥知らず”と言うしかない人間がいることは、一応知っているつもりだ(幸い、身近にそのような人物はほとんどいなかったが)。
しかしこの時、普通の“嘘つき”とか“恥知らず”というレベルを更に越えた人間を、わが生涯で
初めて目の前で見た気がした。
そして、このような人物とだけは金輪際(こんりんざい)まともな(=誠実かつ建設的な)
議論なんてできない-と悟った。
私が「それなりに責任ある議論を組み立てている論者の中には、男系“優先”論者はいても、男系“絶対”論者はほとんどいない」と述べると、時折「でも竹田恒泰氏はどうなんですか?」
と質問される。
そのような時、私の頭の中で「僕はそんなことは言っていません」(キッパリ!)という同氏の声が、虚ろに響く。