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女性皇族が婚姻後も皇籍保持、配偶者と子の身分は棚上げ?

執筆者の写真: 高森明勅高森明勅

女性皇族が婚姻後も皇籍保持、配偶者と子の身分は棚上げ?


政府が画策している皇族数の目先だけの減少対策について。先頃、驚くべき情報に接した。

その中身はにわかに信じ難い。だが、ソースの信頼性と、これまでの政府のやり方からすると、全くあり得ない話ではないだろう。そこで、ここに紹介しておく。


政府が差し当たり、皇族減少対策の“出口”=結論として目論んでいるのは、以下のプランだという。


①内親王·女王は婚姻後も皇族の身分をそのまま保持される。

②その配偶者とお子さまについては、皇族とするか国民とするか、立法府での意見が分かれているので、取り敢えず何も決めず(!)引き続き検討することとする。


えっ?それが結論?


ーと、この問題に関心を寄せて来た誰もが、驚きを禁じ得ないはずだ。

令和の有識者会議報告書では、配偶者とお子さまは“国民”と位置付ける、というプランだった。


しかしそれでは、「皇族と国民」という身分が異なる家族によって構成される、近代以降“前代未聞”の世帯を生み出すことになる。憲法が「天皇·皇室」に求める役割と、憲法が「国民」に保障する権利や自由は、天皇·皇室と国民との“厳格な区別”を前提としてこそ、はじめて可能になる。


だから、内親王·女王が婚姻後も皇族の身分を保持されるのであれば、当然ながら男性皇族の場合と同じように、その配偶者やお子さまも皇族の身分とされなければならない。

しかし自民党などには、合理的な根拠もなく無理筋の報告書プランに執着する勢力も存在する。そこでどうするか。


無茶なプランをゴリ押しするのは一先ず“控える”。その一方で、それを捨て去ることも“しない”。ひたすら「検討中」の看板を掲げて、逃げられるだけ逃げまくる。という、無責任極まる典型的な問題の先送り。


政府は、先ごろ再開した全政党·会派による協議を、その方向に誘導しようとしているらしい。掟破りの「引き続き検討」が出口なら、立憲民主党などが頑張れば頑張るほど、そちらに傾く懸念が高まるとも言える。


しかし、当事者のご結婚が間近に迫ってから、その結婚相手の為に、国会で皇族とするか国民とするかを決める法律を、“泥縄式”で作るつもりなのか。その時になって、立法府の合意がスムーズに得られるという保証は、どこにあるのか。


法律の制定が遅れる場合、法律が出来るまでご結婚を待って戴くのか。更にその手前の話として、未婚の女性皇族方の交際相手の立場になって想像すると、自分が結婚後に皇族になるのか国民のままなのかすら分からない状態は、この上なく不安だろう。


そのことは、交際を続けたり、結婚を決めたりすることに、深刻な障害になると考えるのが普通ではないか。


勿論、結婚によって皇族になることもハードルは高い。だが不明のままよりは、遥かに覚悟を決めやすいのではないか。


政府の無責任な“配偶者の身分「棚上げ」論”は、結果的に女性皇族方のご結婚を全力で邪魔しようとしているに等しい。全く驚くべき情報だ。常識的にはあり得ないヨタ話と言うしかない。


しかし恐ろしいことだが、この問題に対するこれまでの政府·与党などの対応ぶりを振り返ると、あり得ないどころか、このような責任感がまるで抜け落ちた、「後は野となれ山となれ」式のやり方こそ、最も可能性が高いようにも思える。

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