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  • 執筆者の写真高森明勅

椎野カロリーナさん、ミス日本グランプリおめでとう!


椎野カロリーナさん、ミス日本グランプリおめでとう!

第56回ミス日本コンテストが去る1月22日、新宿·京王プラザホテルで開催され、ウクライナ人の両親の間に生まれ、5歳の時に来日し、日本に帰化した椎野カロリーナさんが見事、グランプリに輝いた。


彼女は、私のミス日本コンテスト·ファイナリスト達への講義にも、熱心に臨んでくれた。椎野さん、おめでとう。


私は例年、数千人の応募者の中から最後まで残った十数名のファイナリスト達を対象に、彼女達が背負い、代表すべき「日本とは何か」について、それぞれ自ら答えを導く上で参考になることを目指して、講義に取り組んで来た。


主に歴史、神話、皇室などを取り上げる。


私の講義は、全体のカリキュラムの「内面の美」「外見の美」「行動の美」という3つジャンルのうち、「内面の美」についてのレッスンの中で、大体、最初の勉強会として位置付けられているようだ。


但し昨年の場合は、ちょうど出雲大社が運営に当たっている神職養成機関の大社国学館で毎年、行っている集約講義の日程と重なり、勝手ながら少しずらして貰った。


ミス日本のファイナリスト達はさすがにそれぞれレベルが高い。日本馬術連盟の強化選手だったり、既に医師の資格を持ち研修中だったり、現役の東大生の1人はまだ2年生だが自分でドローンを作る技術を持っていたり、もう1人の東大生は宝塚音楽学校も目指していたり、慶應義塾大学応援団出身者の場合は不祥事で解散に追い込まれたサークルをゼロから立て直した経験を持っていたり、古武術·剣道·空手に打ち込んでいたり等々。


そうした中でも、椎野さんは確かに抜きん出たものを感じさせた。


しかし審査の過程で、彼女の純然たる白人としての容貌や、現在、ウクライナ戦争が政治的なテーマになっている状況などが、マイナスに働かないか、少し心配していた。


だが、それも杞憂に終わったことを素直に喜びたい。私は毎回、講義の最初に「日本という言葉を聞いて直感的に連想する単語は何ですか?」と尋ねている。それへの各自の回答によって、受講者の関心の持ち方や予備知識の水準を大まかに掴み、それを手がかりに講義を組立てる為だ。


椎野さんは「サービス」と答えてくれた。


「気遣い、人に対する温かさが海外とは異なるから」というのだ。まぎれもなく日本人そのものの感性を持っておられる。前日の事前審査会でお話しした時も、本番を翌日に控えて緊張しながら、あくまで謙虚な態度が印象に残った。


私の手元にある資料の自己紹介の欄には、以下のように書いてあった。


「日本人に見えない私の心が日本人である事、そのギャップに苦悩し、乗り越えた日々が私のアイデンティティを作り上げています」と。


子供にありがちな残酷な閉鎖性のせいで、“クラスでは目立つんだけど見えない存在のように扱われたり”、ずいぶん辛い経験もあったようだ。だから今回、グランプリに選ばれたことは、他のファイナリストとは違う感慨もあったに違いない。


グランプリに選ばれた時のスピーチが立派だった。

「日本人として認められたということに感謝の気持ちでいっぱいです。これからも多様性だったり、人を見た目で判断しない社会作りに貢献していきたいと思っております」

「私は日本人じゃないと言われ続けたんですけど、でも日本人であることを諦めたことはないです」涙を流しながらのスピーチだったが、聴いている人々の胸に強く響く内容だった。


ちなみに、彼女の座右の銘は「山高きが故に貴(たっと)からず」。

「山はただ高いからといって貴いとはいえないように、人は見かけだけでなく、中身が大切である」「外観よりも実質が大切だ」という意味のたとえだ。出典は鎌倉時代から明治初期にかけて用いられた児童教訓書の『実語教』。


本人がそこまで知っているかどうかは確認していない。しかし自身の経験に照らして、彼女がこの言葉に普通の日本人以上の深い共感を持っていることは、間違いない。


椎野さん、改めておめでとう。


ミス日本として大きな活躍を期待している。


追記

プレジデントオンライン「高森明勅の皇室ウォッチ」が1月25日に公開された。今回は皇室の正月行事を取り上げた。次回は敬宮殿下の日本赤十字社の嘱託職員としての勤務が内定した件について。公開は前倒しして1月30日、午前6時の予定。

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