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学者と非学者

  • 執筆者の写真: 高森明勅
    高森明勅
  • 2018年11月6日
  • 読了時間: 2分

学者とそうでない者の違いは何か。


時折、こんな質問を受ける。


なので一応、私なりの説明をしておこう。


恐らく理念型としては、次の4つの条件を

クリアしていれば学者で、そうでなければ非学者だろう。


〔1〕学問上の研究テーマを持っている。


〔2〕そのテーマについて、これまで積み重ねられて

来た研究成果を熟知している(2―1)。

更に、それらを評価・分類して、

系統的な見通しを立てている(2―2)。


〔3〕自らの研究テーマを解明する為に必要な

(客観的で検証可能な)学問的手続きを弁(わきま)えている(3―1)。

更に、その手順通りに研究を進める能力を備えている(3―2)。


〔4〕実際にそうした手順を踏んだ研究業績がある。


例えば、ジャーナリストの池上彰氏。

名城大学教授、東京工業大学特命教授、

東京大学客員教授等々の肩書きを持ち、

多数の著書を刊行し、幅広い知識をお持ちのようだ。

しかし、彼が学者であるかどうか。


それは、上記の4条件をクリアしているか

否かによって、判断すべきだろう。


一方、駐車場の誘導係りのアルバイトをしていても、

屋台でタコ焼き売りをしていても(どちらも私自身が若き日に体験しているが)、

先の条件をクリアしていれば、紛れもなく学者だ(いわゆる評論と学術論文の

違いも、ここから類推できるだろう)。


勿論、学者か非学者かは、単純な優劣の問題ではない。


そこを短絡してはならない。


例えば、ジャーナリストが学者である必要がないのは、

学者がジャーナリストである必要がないのと同様だろう。

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