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皇室制度の改正に当たり当事者のお気持ちに配慮するのは当然

執筆者の写真: 高森明勅高森明勅

皇室制度の改正に当たり当事者のお気持ちに配慮するのは当然

皇族数の減少に目先だけの歯止めをかけようとする有識者会議の報告書。


そこには、内親王·女王が婚姻後も皇族の身分にとどまって戴くプランについて、以下のように書き加えてあった。


「新しい制度とする場合でも、現在の内親王·女王殿下方は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは皇族の身分を離れる制度…のもとで人生を過ごされてきたことに十分留意する必要があります」(10〜11ページ)


これは制度の変更にともなう過渡的な措置として、当事者のお気持ちに配慮すべきことを示唆している。当然の指摘だ。


昨年行われた皇室制度の改正を巡る国会の全党協議でも、この点は触れられていた。


つまり内閣も国会も、それなりに当事者のお気持ちに配慮しようとしてする姿勢は、さすがに持っている。ところが、秋篠宮殿下は去年のお誕生日に際しての記者会見(令和6年11月25日)の中で、次のようにおっしゃっていた。


当事者である内親王·女王殿下方を「生活や仕事の面でサポートする宮内庁の然るべき人たちは、

その人たちがどういう考えを持っているのかということを理解して、若しくは知っておく必要があるのではないかと思っています」と。


これは驚くべきご発言だった。

先の報告書が令和3年12月に提出されて既に3年も経つのに、未婚の女性皇族の婚姻についての制度改正に対して、当事者の方々がどういう受け止め方をされているかを、宮内庁当局がいまだに把握していない(!)ことを前提としたご発言だ。


これに対して、宮内庁の西村泰彦長官は12月12日の定例記者会見で早速、「十分(当事者の方々の)お話を伺う機会はなかったと反省している」と述べた。長官がみずから深刻な手抜かりを認めたことになる。


もしも昨年、衆参正副議長の呼びかけで行われた全党協議が頓挫せず、そのまま合意に達していたら、どうなかったか。昨年のうちに制度改正が実現していた可能性があった。


その場合、最悪のケースとしては宮内庁が当事者のお気持ちを「十分」に把握せず、それが内閣にも伝えられないまま、法案が用意され、国会で可決されることになったかも知れないのだ。


そう考えると、秋篠宮殿下が昨年のお誕生日の記者会見というタイミングでこの話題を持ち出されたのは、もうこれ以上、黙って見過ごす訳にはいかない、という切迫した動機をお持ちだったと拝察できる。


皇室制度の改正を巡っては、今年の通常国会(1月〜6月)で「立法府の総意」が取りまとめられる可能性も、一先ず視野に入って来ている。もし衆院正副議長の狙い通りに事態が進めば、今年の秋篠宮殿下のお誕生日記者会見のタイミングでは、もう制度化に間に合わない結果になりかねない。


ちなみに、秋篠宮殿下と最も近い関係にあるとされるジャーナリストの江森敬治氏が、昨年の秋篠宮殿下の記者会見を受けて、以下のように指摘している(「週刊女性PRIM」1月12日公開)。


「佳子さまは生まれてから30年もの長い間、『あなたは、結婚したら一般国民になります。

皇族でなくなります』などと、ずっと言われて育ってきた。本人もそのようにしっかり自覚している。それがどうだろう。『皇室制度が変わりました。結婚してからも皇室に残ってください』と、いきなり政府から言われても、佳子さまは大変、困るであろう」


「姉がすでに結婚して一般国民となっているのに、佳子さまが結婚しても一人、皇室にとどまるだろうか。あれほど、姉のことを慕っている佳子さまにすれば、姉妹の情として、皇室に残ることは考えにくい」…

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