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  • 執筆者の写真高森明勅

旧宮家養子縁組プラン提唱者の「お笑い想定問答」

更新日:2月26日


旧宮家養子縁組プラン提唱者の「お笑い想定問答」

自民党の総裁直属機関「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」(麻生太郎会長)が主な検討対象にしようとしている旧宮家養子縁組プラン。


これは以前、竹田恒泰氏が麻生内閣当時、政務担当内閣官房副長官だった故·鴻池祥肇氏を軸に立法化を企てていたというプランが、その原型かも知れない(竹田氏·門田隆将氏『なぜ女系天皇で日本が滅ぶのか』)。


その時は、事務担当内閣官房副長官だった漆間巌氏が上皇陛下が同プランを快く思(おぼ)し召さなかったとして、頓挫したようだ(同書では、漆間氏の認識を否定しようとしているが、残念ながら成功していない)。


その時に同プランへの批判を予想して、回答を準備していた(同書93ページ〜)。

面白いのでその想定問答の一部を紹介しよう。


まず「(一夫一婦制のもとでは)男系男子(限定)はいずれ行き詰まる」という批判への回答は次の通り。


「行き詰まらないようにするための措置であり、実際に将来行き詰まるかどうかは無関係。必要な法整備を進めるのみ」


不思議な文章だ。「行き詰まらないようにするための措置」なら「実際に将来行き詰まるかどうか」こそが“焦点”のはずだ。にもかかわらず「無関係」とは!

さらに「必要な措置」と言っても「実際に将来」「行き詰まらないようにするための」「法整備」でなければ意味はない。にもかかわらず「行き詰まるかどうかは無関係」が前提になっている。呆れ果てる支離滅裂ぶり。


ただ1つだけ確かなのは、最も肝心な「実際に将来行き詰まるかどうか」には無関心であり、自ら設けた想定上の批判に対して1ミリも反論できていないということだ。


次の想定上の批判は「国民の支持、理解を得られるのか」。

これへの回答は以下の通り。


「皇室典範の原則を変更しない小幅な修正案であるため、そもそも国民の理解·支持を得る必要はない」いやいや、これまで明文(皇室典範第9条)で禁止されていた養子縁組を、憲法上優先的に行うべき手当て(=「男系男子」限定の見直し)も放置して、特定の家柄·血筋つまり「門地」の国民にだけ認め、国民の中に養子縁組の対象に“なり得る国民”と“なり得ない国民”という分断を持ち込むプランは、とても「小幅な修正案」とは言えない。又、たとえ実際に「小幅な修正案」だった場合でも、天皇が憲法上「国民統合の象徴」とされている以上、「国民の理解、支持」は不可欠だろう。


ここでも1つ明らかなのは、同プランに対して提唱者本人が「国民の理解、支持を得られる」自信を全く持っていない、ということだ。以上の2つをまとめると、旧宮家養子縁組プランは将来に行き詰まることがたやすく予想でき、国民の理解、支持も得にくいことを、提唱者が自ら認めていたことになる。


そのようなプランを自民党の上記懇談会でまともに扱うつもりなのだろうか。


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