11月15日、衆院内閣委員会において立憲民主党の馬淵澄夫議員が皇位の安定継承を巡る質問を行われた。
①旧宮家系国民男性が現在の皇族と養子縁組を行うことによって皇籍取得を可能とするプランは憲法が禁じる「門地による差別」に当たるのか、どうか。
②これまで政府は養子縁組プランの対象となる旧宮家系男性の当事者に皇籍取得の意向確認を行なっておらず、今後も行わない旨の国会答弁を繰り返して来たが、同プランの検討を国会に委ねた
現時点でも同じ考えなのか。
①に対しては、天皇·皇族は憲法の門地差別禁止の例外であり、皇族の範囲は法律(皇室典範)に委ねられているので、旧宮家系男性を皇族にする法律を作れば(典範改正又は特例法)、例外扱いをしても憲法違反にはならない、という答弁。
対象になる旧宮家系男性はあくまでも一般国民なので、もっぱら血筋·家柄つまり門地だけを根拠にそのような法律を作ること自体が憲法違反の疑いがあると指摘されている。だから全く答えになっていない。
憲法の枠内で、内親王·女王に皇位継承資格を認め、婚姻後も皇族の身分を保持する制度改正を行えば、皇位継承の安定化、皇族数の確保を図ることができる。にも拘らず、それには一切、手を着けず、下位法だけで憲法の例外枠を広げることが認められるのか。明らかに必要性も相当性も共に欠けており、憲法違反とする他ないだろう。
内閣法制局の説明では憲法違反の疑いは何ら払拭されなかった。それどころか、憲法によって保障されている国民の自由や権利が法律によってほしいまに制約される危険性を持ち込み、皇室が国民平等の理念を損なう存在と見られかねない没論理ぶりを露呈した。
②松野官房長官は当事者のプライバシーに配慮して慎重な対応、国会での議論を注視しながら適切な対応を行う、としか答えなかった。しかし、対象者は国民であり、当事者の意向を無視して制度化を進めることは事実上の強制に当たるから、政府が事前に当事者の意向を確認し、それを国会に報告する義務があることが、結果として明らかになったと言える。
皇位継承問題がようやく動き始めた現時点において、タイムリーで有益な国会質疑だった。
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