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皇位継承と「男女平等」を巡る初歩的な誤解について整理する


皇位継承と「男女平等」を巡る初歩的な誤解について整理する|神道学者、皇室、天皇研究者 高森明勅ブログの画像

憲法学者で改憲論者の駒澤大学名誉教授、西修氏。

保守の論客としても活躍され、平成30年には産経新聞社の正論大賞も受賞された。 その西氏が次のような指摘をされている。


「皇室典範第1条は、皇位の継承を皇統に属する男系の男子に限定している。この規定は、男女平等を定めている憲法第14条に反するといえるのではないだろうか。

なぜ皇位は男子のみが継承しなければならないのか。その合理的理由が、私には理解できない。

憲法第99条は、天皇にこの憲法を尊重し擁護する義務を負わせている。特別な理由がないかぎり、天皇は、率先して憲法を守っていかなければならない」(『日本国憲法を考える』)。


こうした意見に対して、政府はこれまで以下のような説明をして来た。


「(憲法)第14条と(皇位の世襲を定めた)第2条との関係は、第2条は第14条の特別規定というふうにわれわれは考えるのでございまして、憲法に違反するものとは考えないのであります。一面、皇位が世襲であるということは、歴史的な意味の入ったことだと私どもは考えているのでございまして、日本の天皇は、過去におきまして男系の一系の方が世襲しておられる、そういう前提のもとに皇室典範も考えておるのであろうと思います」(昭和39年3月13日、衆院内閣委員会での宇佐美毅宮内庁長官の答弁)


しかし、「男女平等」原則の例外となる制度に「合理的理由」が認められるとすれば、それはあくまでも「特別規定」である憲法第2条が求める、皇位の安定した「世襲」継承という目的に“合致”する限りにおいてのことだ。


しかし、「過去におきまして男系の一系の方が世襲しておられる」ように見えるのは、側室制度と非嫡出の継承可能性が支えていたからで、それが排除された条件下では、皇室典範の「男系男子」限定という今のルールは、皇位の安定継承を不可能にし、むしろ憲法の第2条の要請に反する。


その要請に応える為にはどうすべきか。

明治以来の「男系男子」限定を止めて、男系にも女系にも、男子にも女子にも、“平等”に皇位の継承資格を認める必要がある。

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