top of page
  • 執筆者の写真高森明勅

皇嗣、皇子、皇太子


皇嗣、皇子、皇太子

皇嗣、皇子、皇太子

皇室典範に次のような規定がある(8条)。


「皇嗣たる皇子を皇太子という。皇太子のないときは、皇嗣たる皇孫を皇太孫という」

「皇嗣」は皇位継承順位が1位の皇族。「皇子」は天皇のお子様(男女とも)。

「皇孫」は天皇のお孫様(男女とも)。天皇のお子様(皇子)で皇位継承順位が1位(皇嗣)である場合、「皇太子」という称号を持たれる。その皇太子がご不在で、皇位継承順位が1位の皇孫がおられた場合、その皇孫は「皇太孫」という称号を持たれる。そういう規定だ。


このように、同じ皇嗣でも、天皇の直系の「皇子」「皇孫」にだけ、特別な称号を定めている。それは、皇室典範が皇位継承の原則に「直系主義」を採用しているのに対応する(直系主義では、継承順位において直系を優先し、傍系は後に回す)。


ところが、令和の皇室に「直系」の皇子(敬宮殿下)はいらっしゃらるが、今の皇位継承ルールでは継承資格が「男子」に限定されているので、「皇嗣」ではない。従って「皇太子」はいらっしゃらない(勿論、「皇太孫」も)。「傍系」の皇嗣(秋篠宮殿下)がいらっしゃるだけだ。


これまでも指摘して来たように、直系の「皇太子」と傍系の「皇嗣」は、明確に異なる(前者は次代の天皇となるべき方、後者は巡り合わせでその時の継承順位が1位の方)。その事実を誰よりも深く自覚されているのは、恐らく秋篠宮殿下ご自身だろう。だから、秋篠宮殿下は令和になって(つまりご自身が皇嗣のお立場になられて)からも、宮中の祭祀において、“それまで通り”三殿(賢所・皇霊殿・神殿)の中にお入りになっておられない。


殿外の幄舎(あくしゃ)にて、“一皇族”として洋装(モーニングコート)で「参列」されているだけ。「皇太子」ならば当然、古式の装束を召され、殿内で天皇とご一緒に祭祀に携わられるべきところ、それを一切なされていない。


これは勿論、他者が制止できる事柄ではない。明らかにご自身のご判断で、「皇太子」とは厳格に“一線”を画しておられる、と考えるべきだ。令和の間、秋篠宮殿下は(特別な場合を除き)参列者として以外のお立場で、祭祀に携わられるおつもりはないのではあるまいか。それが「皇太子」では“ない”、皇嗣としてのご自身の筋の通し方のように拝される。

閲覧数:231回
bottom of page