東京・明治神宮外苑の中心施設は「絵画館(かいがかん)」。明治天皇のご生涯を描いた入魂の巨大壁画(日本画・洋画40枚ずつ)が展示してある。
正式名称は「聖徳(せいとく)記念絵画館」。「聖徳」は一般に“君主の徳”を意味するが(他に“非常に優れた知恵と人徳”の意味もある)、この場合は勿論、明治天皇のお徳のこと。
歴史の教科書などで、誰もが知っている絵画の現物を、すぐ目の前で拝観できる。都心の一等地にあって、交通至便(最寄り駅=JR中央・総武線「信濃町駅」より徒歩5分、都営大江戸線「国立競技場駅」より徒歩5分、東京メトロ銀座線・半蔵門線、都営大江戸線「青山一丁目駅」より徒歩10分)。
拝観するのに、僅か500円の施設維持協力金を納めるだけ。にも拘らず、いつ行っても、ほとんどガラガラ。土日祝日など、周りには家族連れやカップルなどが大勢いるのに。どうやら、建物が余りにも立派過ぎて、一般人は中に入れないと思われているらしい。もったいない。
皇居の東御苑(ひがしぎょえん)も、近頃は少し入苑者が増えているような気もするが、
(国内最高の日本庭園が一般に無料公開しているのに)似たような感じかも知れない。私は以前、日本教師塾の皆さんなどと同館を訪れ、展示されている絵画を手掛かりに、明治天皇のご生涯を解説したことがあった。
実は今年の11月3日(旧「明治節〔めいじせつ〕」=明治天皇のお誕生日)も、高森稽古照今塾の受講生を中心に、同じような解説を行う計画があった。ところが、世話係りが同館の事務所に事前に申し入れると、新型コロナの影響で、多数の拝観、まして解説しながら、というのは遠慮して欲しいと言われてしまった。仕方がないので、各自バラバラに拝観して、その後、別の会場に集まって、プロジェクターを使って画像を映しながら解説する、という少しヘンテコな形に変更した。
これでは実物の迫力が薄まってしまう。残念だ。その分を解説の熱量で補うしかないか。