「おじ・おば」日本とシナの違い
数年前に公表した私の皇室典範改正試案の第2条(皇位継承順序)。その第7号について以下の条文案を示していた。
現行「皇伯叔父(=天皇の伯父・叔父)及びその子孫」→「皇伯叔父“母”(=天皇の伯父・叔父と伯母・叔母)及びその子孫」第1条(皇位継承資格)の「男系の男子」という縛りを解除した場合、それに連動して、天皇の「おじ」だけでなく「おば」にも皇位継承資格を認めることになる。
だから、これは当然、改正しなければならない部分だ。
ところが、漢字“本来”の用法に照らせば、上記の改正案では不備になってしまうはずだ。
だから、そこは訂正が必要か、と気に掛けていた。
ところが、この度、改めてわが国でのおじ・おばの漢字表記について点検してみると、特に訂正は無用であることが分かった。
漢字本来の用法では以下の通り。
父方=おじ伯父(父の兄)・叔父(父の弟)。おば姑(父の姉妹)。
母方=おじ舅(母の兄弟)・おば姨(母の姉妹)。
明確に、父方つまり「男系」と母方つまり「女系」を、区別している(詳しくは、“方”と“系”の区別があるものの、ここでは立ち入らない)。
特に父方の男兄弟だけ、年上か年下かで、更に表記を変えている(明らかに父方の男兄弟を重視)。
では、日本の場合はどうか。
父方・母方の区別は無い。
父母より年上なら伯父・伯母、年下なら叔父・叔母。
ただそれだけ。
男尊女卑で「男系社会」だったシナにおける漢字本来の用法とは異なり、男系・女系の区別をしない(漢和辞典には、日本語特有の熟語の意味として、国内の用法も付け加えている)。
これは古代から、大和言葉ではオジ・オバの呼び方について、父方・母方の区別が“無かった”事実が、前提になっている。
元々は年上・年下の区別も無かった。
しかし、漢字の知識が入ってから、伯(年長)・叔(年少)の字を使ってわざわざ区別するようになった。
敢えてその区別はしても、父方(男系)・母方(女系)の区別には“無頓着”なのが、面白い。
いかにも「双系社会」の日本らしい。
とにかく、条文の改正案としては、当初のままで特に訂正は必要ないことを確認できた。
併せて、日本社会における“双系の伝統”の根強さも、改めて想起させられた。
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