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  • 執筆者の写真高森明勅

皇嗣と皇籍離脱


皇嗣と皇籍離脱

皇嗣と皇籍離脱


皇太子と「皇太子でない皇嗣」の違い。


それは制度上、“皇籍離脱(皇族の身分から離れること)”が可能かどうかに、端的に示されている。皇太子は勿論、ご本人の意思でも皇室会議の議決でも、皇籍離脱は一切認められない(皇室典範11条2項)。


これは、皇太子が次の天皇であることが“確定”しているお立場だからだ。


一方、皇太子でない皇嗣はどうか。皇太子とは異なり離脱が可能だ。これは、いささか意外な事実かも知れない。しかし、皇嗣は元々、その時点で皇位継承順位が1位であっても、必ずしも次の天皇であることが確定している訳ではないから、特に驚くには当たらない。


皇太子でない皇嗣の場合は、その方が何らかの事情でやむなく皇籍を離脱されても、継承順位が次(2位)だった方を繰り上げれば、普通に対応し得るという考え方に基づく。これに対して、皇太子ならばそうはいかない。


他に継承資格者がおられても、天皇の直系のお子様(皇子)なので、「直系継承」という“あるべき”継承原則を堅持する規範的な要請から、皇籍離脱の可能性は制度的に排除されねばならない。皇籍離脱の可能性があるか、無いか。


それは天地の隔たりと言うべきだろう(但し特例法では、まさに“特例”として、皇嗣たる秋篠宮殿下もこの点について、皇太子に準じた扱いとした。5条)。

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