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  • 執筆者の写真高森明勅

憲法学者、長谷部恭男氏の講義

11月14日、第6回立憲民主党

「安定的な皇位継承を考える会」に参加した。


今回のゲストは憲法学者の長谷部恭男氏。

集団的自衛権を認める法整備の際に、

自民党の推薦枠で国会に招かれながら、

安保法案を「憲法違反」と述べて大騒ぎになったのは、

記憶に新しい。

憲法学界では目下、

最高の権威者と見られているようだ。

明快かつ流暢(りゅうちょう)でとても聴き易い。

今回はメディアの記者も、

冒頭だけでなく講義終了まで傍聴を許可。

その中に、私が先日、

取材に応じた読売新聞の記者もいたようだ。

その時は気付かなかったが、後で挨拶をしてくれた。

質疑応答、自由討議の時間に移ると、

メディア関係者は退室。

女性皇族がご結婚後も引き続き

皇室のご公務を分担して戴くというプランに関して、

もしそれを義務化(=強制)するような制度を考えて

いるなら、それは明確に憲法に抵触すると言い切られた

のが印象的だった。

又、私が女性宮家創設の最大の弱点と考えている

ポイント(拙著『私たちが知らなかった天皇と皇室』

183ページ参照)についても、ズバリと触れられたのはさすが。

但し、皇族は離婚できないと勘違いされていたようだ。

私が「皇室典範は皇族の離婚を予想しています」

と申し上げる(14条3項)と、「皇太子はどうですか?」とのお尋ね。

「皇太子も『親王』という範疇(はんちゅう)で

一括して扱っています」とお答えした

(但し天皇の離婚は予想されていない)。

長谷部氏は、離婚できない等の理不尽な制約が

もし皇室にあれば、それ自体が皇族のご結婚の

ハードルを高め、安定的な皇位継承の妨げに

なりかねない、という問題意識を持たれているのだろう。

つまり、皇位の継承ルールとその周辺という、

狭い領域に目を向ける事だけに終始していては駄目だ、と。

この着眼点は十分、傾聴に値する。

円熟した学者の風格を感じさせる

ヒアリングの場になった。

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