天皇陛下のご譲位の日取りを決める
政令の閣議決定のタイミングに合わせて、
拙文が共同通信から配信された。
それを掲載した新聞の一部が先日、届いた。
信濃毎日新聞、東奥日報、高知新聞、熊本新聞、長崎新聞など (いずれも12月9日付)。
私以外には、作家の落合恵子氏、 ノンフィクション作家の保阪正康氏、 放送大学教授の原武史氏。 東奥日報には前侍従長の川島裕氏の「大型談話」も。 それぞれ一節を紹介する。
川島氏 「昨年8月の天皇陛下のビデオメッセージは、 象徴天皇の在り方とは何か、ということに端を発した お気持ちの表明だった。 超高齢化社会の象徴天皇の役割について 普遍的な課題を提起され、退位表明は その帰結でもあったと思う」
落合氏 「個としての選択がほとんど認められない中で (なんと不自由なことか)、陛下は皇后とともに 新しい時代の開かれた皇室を目指して来られた… わたしたちに認められて、天皇には認められない 最初で最後の『基本的人権の行使』をできるだけ早く、 と願ってやまない」 保阪氏 「今は…市民意識の希薄化が進んでいるようだ。 そういう状況の中、真摯に憲法の精神を体現する道を 歩んでいるのが天皇陛下だ。 昭和の負の遺産を背に慰霊の旅を繰り返し、 被災地訪問も重ねた。 暗中模索し歴代にない象徴天皇の在り方を確立した」
原氏 「天皇が国民に歩み寄ったと言われるが、 実際のこの30年は天皇の存在や権威が大きくなり、 一種の権力を持つようになった時代だと思う… 憲法4条で『国政に関する権能を有しない』としているのに、 実際には、主権者の国民が天皇に従う格好になっている。 それが可能になったのは、天皇が度重なる地方訪問を通じて、 政府や国会を介在させず、国民との直接的なつながりを強めたからだ。 こうした天皇の在り方に称賛ばかり集まり、 誰も異義を唱えなくなっている現状に気持ちの悪さを感じる」 拙文からも。
「天皇陛下が退位へのお気持ちをにじませた 昨年8月8日の『お言葉』から1年余り。 政府は迷走を重ねてきたように見える… その背景には、退位を1代限りの例外扱いしようとする 政府の思惑が透けて見えた。 しかし、天皇が憲法に規定された『国民統合の象徴』 としての役割を果たすためには、さまざまな公的行為(象徴行為) が欠かせない。 一方で、長寿社会が進むという現実がある。 その両者を前提とすれば、退位の制度化は 避けられない選択だった… その結果、皇室典範と『一体を成す』特例法に、 (1)天皇の意思に反しない (2)皇嗣(後継者)が成年に達している (3)皇室会議が関与する
ーなどの退位の事実上の『要件』を書き込み、 将来へのルール化を図る形で決着した… 今回決まった4月末日の退位日には疑問が残る。 新天皇即位に伴う皇位継承儀礼で、 とりわけ重要とされる『大嘗祭』の準備の点で 開始が遅くなりすぎる懸念があるのだ… 新天皇即位後の課題も多い。 国事行為はもちろん、 公的行為の多くも皇太子さまが引き継がれる。 皇太子の公務は、『皇嗣』となる秋篠宮さまが 担われることになる。 その場合、これまで秋篠宮さまが 取り組んでこられた公務はどうなるか… 今の制度のままでは眞子さまがしてきた公務の 『譲る先』も問題となる。 特例法の附帯決議には『安定的な皇位継承』と 『女性宮家の創設』について、政府の取り組みを促している。 政府はいつまでも迷走を続けていてはならない」
(原文の「殿下」を「さま」に改めている他、 省略箇所にも通信社による変更がある)
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