高森明勅

2022年11月13日3 分

悠仁親王殿下の将来のご結婚の至難さを緩和する為には?

政府が国会に検討を委ねた皇族数の確保策を巡る有識者会議報告書に以下のようにある。

「(今上陛下→秋篠宮殿下→悠仁親王殿下という)皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない」(6ページ)と。

しかし、秋篠宮殿下のご即位は現実的には想定しにくい(プレジデントオンライン10月28日公開拙稿など参照)。

更に悠仁親王殿下についても、今の制度のままだと皇室は将来、殿下お1人だけになり、しかもご結婚相手の女性は必ず1人以上の男子を生まないと皇室そのものが滅びるという厳しい重圧から逃れられない。その事実が予め分かり切っている以上、ご結婚自体が至難にならざるを得ない。

畏れ多いが、今の制度のもとで悠仁殿下がご結婚できなかった場合、皇室は全く行き詰まる。

だから皇室の存続を願うなら、悠仁殿下のご結婚のハードルを少しでも下げることが欠かせない。その為には、内親王・女王方がご結婚後も皇族の身分にとどまる制度に改める必要がある。

公平に言って、そのことにより内親王・女王方のご結婚のハードルが一定程度、高くなる可能性も予想される。しかし甚だ申し訳ないが、上記の事情によりやむを得ない。

その場合、2つの必須条件がある。

①内親王・女王方にも皇位継承資格を認めること。

②内親王・女王方のご結婚相手やお子様は皇族の身分を取得されること。

もし①がクリアされなければ、そもそも制度改正の合理的根拠を持ち得ない(皇位継承資格を持つ→ご結婚後も皇籍保持/皇位継承資格なし→ご結婚後は皇籍離脱…という対応関係。11月7日公開ブログ参照)。

更に②がクリアされなければ、天皇の「日本国の象徴」「日本国民統合の象徴」としてのお立場と皇室の「聖域」性が、根底から覆されかねない(配偶者やお子様が国民なら、憲法第3章が保障する自由・権利は、全て最大限に尊重されることになる。11月3日10日公開ブログなど参照)。

これらのうち①の制度改正を行うには、皇室典範第1条の少なくとも「男子」限定を解除しなければならない(②については「男系」限定の解除も必要だろう)。

そうすると、これまでの直系主義そのものを見直さない限り、皇室典範第2条の適用によって「皇長子」(天皇の最初に生まれたお子様)が皇位継承順位の第1位(皇嗣たる皇子=皇太子)となられる。

これを現在の皇室に当てはめると、どなたが該当されるかは改めて申し上げるまでもない。

皇室の存続を図り、悠仁殿下が苛酷なご生涯を辿られない為に”最低限”求められる制度改正を行うと、必然的に敬宮殿下が「皇太子」になられるという帰結に行き着く。

現在の「皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない」などと、いつまでも無為無策のまま問題解決を“先延ばし”することは、皇室への謙虚さや敬意を示すものではなく、悠仁殿下のご結婚を妨害し、皇室の存続それ自体を不可能にしようと狙っているのに限りなく近い。

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