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  • 執筆者の写真高森明勅

旧宮家論の「転進」

男系絶対論者がこれまで唱えて来た「旧宮家系国民男子が新たに皇籍を取得できるようにせよ!」との主張。しかし当然ながら、どうやら行き詰まって来たようだ。


これまでは、「未婚の成年男子」が対象だった。当たり前の話だ。しかし、知られている4人のうち、3人までが歴然と無理。残るは、これまで意思を明らかにしていない、東久邇家の自動車販売会社に勤めているらしい30代半ばの1人だけ。

となると、「転進」を余儀なくされる。他に未成年者が従来、3人知られていた(計7人)。だが、既婚者が新たに子供を生む可能性は勿論ある(それが3人?)。 しかし、皇籍取得という重大事については、本人の“責任ある意思”を前提とし、その“資質”を見極める必要もある。なので、従来は未成年者は対象から外していた。世代も皇室との距離もより離れるし。ところが近来、成年男子は殆ど諦めたように見受けられる。 未成年者も対象にし、本人が自覚も無い幼児のうちに、どこかの宮家の養子に入れてしまおう、などという無茶苦茶な話が平然と出て来ている。他人の子供を何だと思っているのか。

万が一親が承諾しても、当人が成人になってその経緯を知り、同意なく皇族にされたとして、国民に戻りたいと訴える可能性があるなどとは考えないのか。 民間でも養子縁組みの解消を行ったケースを私は知っている。そんなことは皇室で決して起こってはならないだろう。そもそも、今の宮家の状況では、養子を迎えること自体考えにくい(今後はますます困難になる!)。


勝手に他人の子供を取り上げて、畏れ多くも勝手に宮家に押し付けるような妄想を膨らませることは、非礼かつ不敬で異常極まる。庶民の常識からは余りにもかけ離れている。いくら愚人の“たわごと”であっても、皇室を巡ってそんな話題が出ることは、それだけでも皇室への尊敬を損ないかねない。


更に、皇籍取得の対象をもっと拡げて、旧宮家より天皇との血縁が近い「皇別摂家」の系統を探る動きも、出て来たようだ(こちらは必ずしも男系“絶対”派とは言えないが)。


大阪・北新地のワインバーの経営者とか。民間に下って、既にどれだけの歳月が経過したと思っているのか。ご本人にとっても迷惑だろう。皇室と国民の区別を蔑ろにする暴挙だと気が付かないのか。歴史上の喩えで言えば、平将門や足利尊氏を皇室に入れて、その子を天皇にしようとするようなものだ。 こうした「転進」は、どちらも予想されていたこと。とはいえ、どんどん「異界」に迷い込んでいると言わざるを得ない。

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