1月16日、歌会始の儀。お題は「光」。 御製(ぎょせい) 贈られし ひまはりの種(たね)は 生(は)え揃ひ 葉を広げゆく 初夏の光に 皇后陛下御歌(みうた) 今しばし 生きなむと思ふ 寂光(じゃっこう)に 園(その)の薔薇(そうび)の みな美しく 天皇陛下は平成17年、 阪神淡路大震災10周年追悼式で、 遺族から贈られた向日葵(ひまわり)の種が成長し、 葉を広げる様子を優しく詠まれた。 その種は、震災で犠牲になった 女児の自宅跡で採集されたもの。 毎年、御所の庭に蒔いて、 大切に育てておられる。 陛下の国民へのお気持ちは、 むしろこのような人に知られない所でこそ、 尽くされている。 皇后陛下の御歌は陰影に富む。 美しい薔薇(ばら)が華やかに咲いた様子をご覧になって、 「今しばし生きなむと思ふ」と詠まれた。 しかも薔薇は、寂光に照らされている。 思わずハッとするような御作。 向日葵と薔薇。 平成最後の歌会始を、 両陛下は光の中に咲く、 これらの花で締め括られた。
画像:日本経済新聞社 代表撮影