先日のブログで「今上陛下には敬宮(としのみや、愛子内親王)殿下という…光輝くようなお子様(皇子)がおられる」(カッコ内は原文のママ)と書いた。
ここに出てくる「皇子」という語について、「“皇子”は男性のお子様を指す語なので、“皇女”が正しいのでは?」と疑問を持った人がいたかも知れない。
確かに「皇子」という語は、男性のお子様“だけ”を限定的に指す用法もある。
その場合は普通、“おうじ”と訓む(『新潮国語辞典〔現代語・古語〕改訂版』『明鏡国語辞典 第2版』『岩波国語辞典 第8版』など)。
しかし、“こうし”と訓んで、「天皇の子、また、天皇の男の子」(『広辞苑 第5版』)「天皇や天子の子、また、その男子だけに用いることがある」(『日本国語大辞典』第7巻)という具合に、男女を問わず、「天皇の子」を指すのが、主な用法だ(但し『三省堂国語辞典 第4版』は“おうじ”と訓んで「天皇の子」とする)。
現に皇室典範でも、「皇子」は男女どちらも含む「天皇の子」を意味する語として、用いられている。第6条に以下のようにある。
「嫡出の皇子及び嫡男系嫡出の皇孫は、男を親王、女を内親王とし、三世以下の嫡男系嫡出の子孫は、男を王、女を女王とする」
従って、第8条に「皇嗣たる皇子を皇太子という」とあるのは、この条文自体としては「男子」に限定して“いない”ことになる。もし第1条が改正され、皇位継承資格の「男子」限定が解除されたら、第2条の皇位継承の順序の第1号「皇長子」に該当するのは敬宮殿下なので(秋篠宮殿下と悠仁親王殿下は第6号「皇兄弟及びその子孫」、常陸宮殿下は第7号「皇伯叔父及びその子孫」)、直ちに「皇嗣」になられ、第8条の規定によって「皇太子」とお呼びすることになる。
それは即ち、天平10年(738年)に阿倍内親王(聖武天皇の皇女、後の孝謙=称徳天皇)が「皇太子」になられて以来、日本史上“お2人目”の女性皇太子が誕生することを意味する。