
3月13日に開催されたゴー宣道場で、ゲストの石破茂衆院議員が「天皇陛下が敬宮(愛子内親王)殿下をどのようにお育てになっているか、私は存じ上げないが…」という発言をされた。
これは私にとっていささか不思議な発言に聴こえた。
何故なら、先頃、ご成年を迎えられた敬宮殿下の佇まいを虚心に拝すれば、国民としてそのことを想像するのは、さほど困難ではないはずだからだ。
平成時代には、現在の皇后陛下に対する残酷かつ執拗なバッシングが繰り返された。
それがあろうことか、敬宮殿下にまで飛び火する場面もあった。
保守系の論者の中には、畏れ多くも天皇陛下のご即位を阻もうとする論調さえ見られた。
そのような中で、まさに有言実行。
ご自身のご公務をいささかもゆるがせにされることなく、皇后陛下を全力で守り抜かれ、更に、一時は明らかにご体調に異常を抱えておられた敬宮殿下を、ご療養を続けられる皇后陛下とご一緒に、ご聡明でお健やかな成年皇族にお育てになられた。
その一事だけでも、直系の皇統という高貴な血筋や、天皇という尊厳この上ないお立場を、敢えて一旦除外して考えても、人間として人格として、心から尊敬できるお方と言う他ないだろう。
アメリカのトランプ前大統領の来日の際には、即位されて間もない天皇陛下が、したたかなトランプ氏に翻弄されるのではないかという懸念も、メディアには見られた。
しかし、日本の天皇とアメリカの大統領の“格”の違いを、穏やかながら鮮明に見せ付ける結果になった事実は、まだ多くの人々の記憶に新しいはずだ。
令和になって以来の天皇陛下のなさりようを拝見すると、平成時代から明らかに変更された事柄もあるのに気付く。それは丁度、上皇陛下が昭和天皇のなさりようを、ある部分ではハッキリと変更されたことに通じる。
先の天皇のなさりようを“形式”として漫然と踏襲するのではなく、そのようななさりようを支えたお気持ちやお考えを、深く理解し受け継いで、ご自分の時代に相応しい在り方を真剣に模索されている結果に他ならない。
3月17日の敬宮殿下の記者会見は、皇室と日本の“未来”への希望を示して戴けるのではあるまいか。