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  • 執筆者の写真高森明勅

58歳のお誕生日迎えられた皇后陛下の御歌を謹んで振り返る


皇58歳のお誕生日迎えられた皇后陛下の御歌を謹んで振り返る

12月8日は皇后陛下の58歳のお誕生日。

国民の1人として心からお祝い申し上げ、1日もお早いご体調のご快復を祈り上げる。


この機会に、皇后陛下が歌会始に当たって詠まれた御歌(みうた)の中から何首か、謹んで掲げさせて戴き、改めてそのお人柄をお慕い申し上げる緣(よすが)としたい。



平成6年お題「波」


君と見る

波しづかなる

琵琶の湖(うみ)

さやけき月は

水面(みなも)おし照る


同8年「苗」


もろ手もちて

ひたすら花の

苗植うる

知恵遅き子らの

まなこかがやく


同9年「姿」


大地震(おほなゐ)の

かなしみ耐へて

立ちなほり

はげむ人らの

姿あかるし


同11年「青」


摩文仁(まぶに)なる

礎(いしじ)の丘に

見はるかす

空よりあをく

なぎわたる海


同13年「草」


君とゆく

那須の花野に

あたらしき

秋草の名を

知りてうれしき


同14年「春」(前年12月、愛子内親王殿下ご誕生)


生(あ)れいでし

みどり児のいのち

かがやきて

君と迎ふる

春すがすがし


同17年「歩み」(前年7月に「適応障害でご療養中」と公表)


紅葉(もみぢ)ふかき

園生(そのふ)の道を

親子三人(みたり)

なごみ歩めば

心癒えゆく


同18年「笑み」


輪の中の

ひとり笑へば

またひとり

幼なの笑ひ

ひろがりてゆく


同21年「生」


制服の

あかきネクタイ

胸にとめ

一年生に

吾子(あこ)はなりたり


同25年「立」


十一年前

吾子の生れたる

師走の夜

立待ち月は

あかく照りたり


同26年「静」


悲しみも

包みこむごと

釜石の

海は静かに

水たたへたり


同27年「本」


恩師より

贈られし本

ひもとけば

若き学びの

日々のなつかし


同28年「人」


ふるさとの

復興願ひて

語り会ふ

若人たちの

まなざしは澄む


同29年「野」


那須の野を

親子三人で

歩みつつ

吾子に教ふる

秋の花の名


同30年「語」


あたらしき

住まひに入りて

ユリ(門+水)上(あげ)の

人ら語れる

希望のうれし


同31年「光」(皇太子妃として最後の歌会始)


大君と

母宮の愛でし

御園生(みそのふ)の

白樺冴ゆる

朝の光に


令和2年「望」(皇后になられて最初の歌会始)


災ひより

立ち上がらむと

する人に

若きらの力

希望もたらす


愛子内親王殿下がご成年を迎えられた際のご感想の一節に、


「日頃から思いやりと感謝を忘れず、小さな喜びを

大切にしながら自分を磨き…」


とあったのを自ずと思い出させるような御歌も拝されて、

感銘深い。

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