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  • 執筆者の写真高森明勅

愛子内親王殿下がご成年を迎えられるのを間近に控えて


愛子内親王殿下がご成年を迎えられるのを間近に控えて

天皇・皇后両陛下のご長女、敬宮(愛子内親王)殿下は来る12月1日に、めでたくご成年をお迎えになる。


《直近の内親王のご成年》 


皇室典範の規定では、皇太子又は皇太孫の場合は18歳でご成年となる。

しかし、敬宮殿下は天皇陛下のご長子でいらっしゃっても、今のルールでは皇位継承資格をお持ちでないので、他の皇族と同様に20歳でのご成年となる(ちなみに、皇嗣も傍系ならば20歳でのご成年)。


成年儀式の準拠とされる「皇室成年式令」(明治42年制定、現在は廃止)は、男性皇族だけを対象としており、内親王・女王についての規定が無かった。

同令制定当時の「男尊女卑」的な時代背景を彷彿とさせる。

直近の内親王のご成年は、秋篠宮家のご次女、佳子殿下の例だった(但し、同じ内親王でも敬宮殿下とは異なり、“天皇の孫”というお立場)。


《宮中三殿へのご参拝ほか》


佳子殿下は、平成26年12月29日にご成年をお迎えになられた。

当日、まず皇居・宮中三殿にご参拝。次に宮殿に移られて、上皇陛下(当時は天皇)から「宝冠大綬章」を授けられた。

これは女性皇族に授けられる勲章としては最上位で、皇后・皇太子妃・親王妃と同じ。


宝冠章は特別な場合に女性のみに授与される。

親王の場合は、勲章の中で最高位に近い「大勲位菊花大綬章」が授けられ、ここでも扱いに違いが見られる(その上は天皇などが対象となる「大勲位菊花章頸飾」のみ)。


その後、一旦、宮邸にお戻りになって、それまでの昼用礼服のローブ・モンタントから夜用礼服のローブ・デコルテにお召し替えになり、授けらればかりの勲章や、ティアラなどの宝飾品を身に付けられた正装姿で、上皇・上皇后両陛下にご挨拶を申し上げた。


《昭和天皇・香淳皇后の御陵へのご参拝ほか》


それが終わると、上着をお召しになって、報道関係者の写真撮影に臨まれた後、東宮御所をはじめ各宮邸を回ってご挨拶されている。

夕方、宮殿で宮内庁幹部職員による祝賀を受けれられ、夜には宮邸で成年を祝う夕食会が開かれ、上皇・上皇后両陛下も訪れられた。ご成年を迎えるに当たっての記者会見は、既に同月15日に済ませておられた。


興味深いご発言も見受けられる。


ご自身が皇族として他の人と違う立場であることを自覚されたのは、「(小学生の)低学年」の頃とお答えになっていた。


それから日を改めて、昭和天皇・香淳皇后の御陵(東京都八王子市、翌年1月15日、同じ武蔵野陵墓地にある大正天皇・貞明皇后の御陵も)、伊勢神宮(三重県伊勢市、同年3月6日)、神武天皇の御陵(奈良県橿原市、同月7日)をそれぞれ参拝されている。


《今回はティアラをご借用》


敬宮殿下の場合、ご成年に伴う主な行事はお誕生日当日の12月1日ではなく、同月5日に行われる予定だ。

その際、天皇・皇后両陛下、上皇・上皇后両陛下へのご挨拶の後、皇族や三権の長らから祝賀をお受けになる。同じ内親王でも格上の待遇だ。


正装される時に必要になるティアラは、コロナ禍に苦しむ国民に配慮されて今回は新調されず、

叔母に当たられる黒田清子さまが所有される物をお借りになるという。

畏れ多いお気遣いだ。


記者会見は年明けになる模様。


敬宮殿下がご成年を迎えられた後、12月中の皇室祭祀として中旬の賢所御神楽、25日の大正天皇例祭(皇霊殿、他に御陵でも祭典がある)などが行われる。


皇太子のお立場なら殿内にて拝礼されるが、現状では一般の成年皇族として参列されることになる。31日の大祓には皇族の代表がお1方だけお出ましになる(宮内庁・皇宮警察本部の職員らも参列、神嘉殿の前庭)。

大祓は年に2回、6月と12月の月末に行われるが、今年の6月30日の大祓には秋篠宮家のご長女、眞子さまがお出ましになった。


《一般参賀へのお出まし》


普通なら、来年1月2日の新年一般参賀の折に、ご成年を迎えられた敬宮殿下が初めて幅広い国民の前にお姿をお見せになるところだが、宮内庁は新型コロナウイルスの感染再拡大を懸念して、今年に引き続き実施しない方向で検討しているようだ。


2月23日の天皇陛下のお誕生日には、晴れて一般参賀が実施されることを願っている。

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