
今回の衆院選の最中に、有志国民によって、注目すべき取り組みが行われた。
皇位の安定継承を願う一人一人が、自ら地元の候補者の選挙事務所に出向き、あるいは街頭での選挙活動の場で、候補者本人やその関係者に直接、女性天皇を可能にする制度改正の必要性を訴えたのだ。
《全国で109件》
その実践の報告件数は10月30日時点の集計で、109件。
北海道から福岡まで全国22の都道府県で、上記のような取り組みが行われた(他に場所が不明なケース14件)。
選挙期間が短く限られ、大がかりな組織でなく個人の自発性だけに基づいた行動で、しかも全く初めての試みだった事情を考慮すると、これは決して少ない数字ではあるまい。
候補者不在の選挙事務所を訪れた人のもとに、後日、候補者本人からわざわざ電話がかかったようなケースもあった。
あるいは、選挙用の街宣車が信号待ちをしているタイミングで近づいて、メッセージカードと拙著『「女性天皇」の成立』を手渡す離れ業を見せた人もいたようだ。受け取った側としては驚き以外の何ものでもなかったはずだ(女性天皇を求める国民がそこら中に“潜んでいる”と感じたかも…)。
《10月に呼び掛け》
そのきっかけは、10月に岡山で開催された「ゴー宣道場」での私の呼び掛けだろう。
今回の衆院選は、皇位の安定継承への関心がかつてないほど高まったタイミングでの選挙になる。有識者会議での議論が重ねられ、自民党総裁選でもテーマの1つになった。選挙後には有識者会議の報告書が提出される予定だ。それに加えて眞子内親王殿下(当時)のご結婚への注目から、皇室それ自体への関心も高まっている。
選挙期間中は、政治家(候補者)と有権者の距離が最も縮まるから、このチャンスを生かさない手はない。どうか、各地の選挙事務所に出向いて、皇位の安定継承に向けた国民の願いを、それぞれ届けて貰いたい、と。
その後、動画を通して、街頭での選挙活動の機会も逃さないで欲しい(こちらの方が候補者本人に直接、各自の気持ちを伝える機会は多いかも知れない)と、追加して呼び掛けた。
このような私のささやかな呼び掛けに対し、多くの方々が真剣に受け止めて、早速、行動に移して下さった。その熱意に深い感銘を覚える。拙著も幅広く活用して貰えたようで、嬉しい。
2週間、殆ど不眠不休で書き上げた甲斐があった。
《画期的な行動》
皇室典範の改正に直接の責任を負う政治家に対して、皇室を敬愛する各地の国民が一斉に、女性天皇の実現を求める声を、本人又は関係者に直接、勇気を持って届けたのは恐らく今回が初めてだろう。それだけでも、画期的な意義を持つ。
人から人への直接の訴え“だけ”が持つ、リアルな迫力、説得力が、それぞれの場面で生まれたはずだ(人見知りや口下手な人の懸命さが、かえって相手の心に迫る場合がある!)。
実際に行動された方々は、自身の体験によって、今後への自信にも繋がっただろう。
これからも継続的な働きかけを可能にする、政治家との“接点”を掴まれた方もいたようだ。
今回の取り組みは様々な意味で、皇位の安定継承に向けて、とても大切な礎石を築いたと言える。サイレント・マジョリティーからボーカル・マジョリティーへの偉大な序曲と言うべきか。
実際に行動された方々の勇気と熱意に、心から感謝と尊敬の気持ちを表したい。