• 高森明勅

男系の重み“など”を踏まえ…

男系の重み“など”を踏まえ…


10月13日、菅首相は自民党の有志グループ(代表・青山繁晴参院議員)と会談し、

「男系による継承が続いてきた重みを踏まえることは、いささかも変わらない」と述べたという。

各メディアで取り上げられた。


しかし、これは従来の政府見解を繰り返したに過ぎない。

例えば、菅氏は内閣官房長官当時、国会で次のように答弁していた。


「安定的な皇位の継承を維持することは、国家の基本にかかわる極めて重要な問題であると認識しています。

男系継承が古来例外なく維持されてきたことの重みなどを踏まえながら、慎重かつ丁寧に検討を行っていく、その必要があると思います」(平成31年2月27日、衆院予算委員会)と。


これは、事柄の重大性に照らして当然ながら、よく考え抜かれた答弁と言えよう。


先ず、問題の位置付けとして「国家の基本にかかわる極めて重要な問題」とする(①)。

次に、過去の経緯については「男系継承が古来例外なく維持されてきた」と見る(②)。


これら①②は、実は小泉純一郎内閣当時、「皇室典範に関する有識者会議」が提出した報告書の内容に、そのまま依拠している(同会議が実施したヒアリングでは私も意見陳述する機会があった)。


①について否定する国民は殆(ほとん)どいないだろう。

②については、学問上の疑義を挟む余地はあっても、政府として一貫した立場を維持していることになる。


注目すべきは、今後の取り組み(慎重かつ丁寧に検討…③)に繋(つな)ぐ際の、「重み“など”を踏まえながら」という一句だ。


これは、②を疎(おろそ)かにしない、という姿勢を示す一方で、「など」という語をさりげなく挿入することで、必ずしも“それだけ”に拘(こだわ)らない、という含みを持たせている。


もっと言えば、同報告書には次のような指摘も明記されていた。


「過去において、長期間これ(男系継承)が維持されてきた背景としては、まず、非嫡系による皇位継承が広く認められていたことが挙げられる。

…(ところが)現行典範が制定されたとき…皇位継承資格を有するのは嫡出子に限られ、制約の厳しい制度となった」と。


先の「など」には当然、この、側室が不在で非嫡出による皇位継承の可能性が絶たれた、という“過去”に無い条件も含まれる。

従って、②を前提としつつ、「慎重かつ丁寧に検討を行っ」た結果、「今後における皇位継承資格については、女子や女系の皇族に拡大することが適当である」(同報告書)という結論(④)に至る道筋も、決して排除されていない。


政府は、憲法は皇位の「世襲」のみを規定しており、その世襲の具体的な形として、“男系男子”という縛りを維持するかどうかは、皇室典範の改正に係(かか)っているという立場。


その典範を改正するかどうかは、言う迄もなく、最終的に国会に委ねられている。

その国会を動かせるかどうかは、国民の真剣さが問われる。



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