誤植・脱文のオンパレード
稲田朋美衆院議員の事務所から女性議員活躍の会編『皇位継承 論点整理と提言』(展転社)が送られて来た。
昨年10月から12月にかけて、同会(稲田共同代表)で皇位の安定継承を巡る勉強会が開かれ、その講師の1人として招かれた。同書はその記録だ。
講師は、私以外に櫻井よしこ氏、所功氏、百地章氏など。
中に、必ずしも専門家とは思えない人が招かれていたのは、「保守」の論客として選ばれたのだろう。
一方、招くべき専門家が外されているのは、「保守」系ではないと判断された為か。
ならば同会としては、私も一応「保守」の端くれと見なしたということか。
私自身は、保守・リベラルいずれからも、学ぶべき点は謙虚に学びたいと願っている、一介の平凡な日本人に過ぎない、と自覚しているのだが。
それはともかく、同書の刊行については予め同意を求められていた。
ところが、いつまで経ってもゲラ刷りが送って来ない。
そこで過日、不審に思って事務担当者に問い合わせて、驚いた。
既に印刷に回っていて、近く刊行予定とか。
私の文章については、思わぬ手違いがあったらしい。
私も長年、講演や執筆を続けており、書き下ろしの単行本や、講演・シンポジウムなどの記録が刊行されたことも、勿論少なくない。
しかし、著者にただの一度も校正の機会が与えられないまま、文章や発言記録が公刊されるなんて非常識な経験は、さすがに初めて。
この度、送られて来た本をざっとチェックすると、誤植がおびただしくある(それも、「皇籍離脱」とあるべき箇所が、何故か正反対の「皇籍復帰」に間違っていたりする)。
だけでなく、文章の脱落すら何箇所もある。頭を抱えたくなるような惨状だ。
しかも、削除するはずの質疑応答の部分が、私に何の断りもなく、ノーチェックで活字になっている。
一般的なテーマでも、こんな杜撰(ずさん)なやり方は、著者に対しても、読者に対しても、甚だしい非礼だろう。
ましてや、重大この上ない皇位継承をテーマにした刊行物には、あるまじき粗略さではないか。
自分で責任を負いかねる文章が、私の名前で公表されたのは、残念だ。
でも、そんな大きな欠陥があっても、予断と偏見なく、理性的に読んで貰えば、誰の意見が最も妥当かは自ずと明らかだろう。