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  • 執筆者の写真高森明勅

パスポートを手に入れた

更新日:2020年12月29日


パスポート

パスポートを手に入れた

わが家はそれなりに「国際的(?)」だ。


先ず長女はシンガポールの好青年と結婚した。その長女と妻は近年、母娘でヨーロッパ旅行を繰り返している。数年前に2人でスペインへ。この時はボディーガードとして次男も連れて行った。しかし次からは、次男の旅費を倹約して自分達の贅沢につぎ込む事を思い付いたようだ。ボディーガードは失業。2人だけでローマを中心としたイタリア旅行(妻は事前に塩野七生『ローマ人の物語』全43巻+同スペシャル・ガイドブック読了)。


翌年はベネチアを中心とした同国の旅(妻は事前に塩野『海の都の物語』全6巻読了)。更に今年は再びスペインへ。…と、それぞれ旦那を日本とシンガポールに置き去りにして、自分達で入念に計画を練り、連年、10日間程の旅行を続けている。もっとも、長女は旦那ともオーストラリアやタイなど、あちこちに旅行しているらしい(パリに行くはずがテロで延期になったり)。


長男は以前、仕事の関係でアジア各国を集中的に訪れていた。観光でインドにも行っている。今年の1~4月は毎月、遊びで香港・マカオ、タイ、ベトナム、台湾などに足を延ばしている。台湾は3度目で、現地に友人もいるようだ(長男が体調を崩した時には、その友人がわざわざ日本まで見舞いに来てくれた)。


次男は学生時代にアメリカに短期留学。戦没者のご遺骨の帰還事業に加わってモンゴルに出かけた事もある。


…そうした家族の中で、1人だけ“国際化”に背を向けて来たのが私。


自慢ではないが、生まれてこの方、日本から一歩も外に出た事がない。新婚旅行も、伊勢の神宮にお参りして奈良を巡るという、いささか古風な旅だった。このまま一生、海外に出る事はあるまい、と思っていた。ところが、そうはいかなくなった。


娘の旦那のご両親がシンガポールに来て欲しいと思っておられるとか。確かに礼を欠いていたと反省。この度、初めて「パスポート」なる物を手にいれた。手続きをした時に、窓口の人からこれまで使っていたパスポートの提示を求められたが、60歳を過ぎて初めてパスポートを取るので、手元にパスポートは無いと説明したら、少し驚いた風だった。

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