• 高森明勅

車いすダンスと天皇陛下



車いすダンスと天皇陛下

平成29年9月、天皇・皇后両陛下(当時は皇太子・同妃)には奈良県で開催された「第32回国民文化祭・第17回全国障害者芸術・文化祭」にお出ましになられた。その時、車いすダンスをご覧になられた。会場で両陛下をお迎えした坪田建一氏(車いすダンスに取り組む「ジェネシスオブエンターテイメント」代表)と安藤広二氏(車いすダンサー)の発言を紹介する(『祖国と青年』6月号、インタビュアーは椛島明美氏)。 「(当日)練習が終わった後、障害者の子供たちに両陛下がお声掛けをされ、感想をお聞きになりました。そして、最後に陛下がご挨拶され、全て終わることになっていたのですが、皇后陛下がこちらも、というようにダンサーの方を示されたのですね。それで急遽、予定になかったのですが、私たちのメンバーにもお声掛けをいただくことになりました。 …本当にお優しく、びっくりしました。ダンサー2人にお声掛けをいただいた時には、後列のダンサーにも頭を下げておられました。大変なお心遣いですよね。ここまでされるのだと驚きました」(坪田氏) 「(両陛下は)とても表情が柔らかく、優しいお方でした。お声掛けいただいたダンサーもとても感動していました。ただ予定にないことだったので、頭は真っ白だったそうです」(安藤氏) 「私が(陛下に)お伝えしたのは『障害のある人は挑戦できる機会さえあれば、絶対に力を発揮できる」ということです。…その上で、陛下に『障害のある人が挑戦できる環境が整っているかというと厳しい状況ですが、これから地道に積み上げていくことが使命だと思っています』と申し上げました。 …最後に『この活動の道が開かれていくことを願っています』とおっしゃって下さいました。この国に生まれて一番の栄誉じゃないですか。本当に嬉しかったですね」 「私自身、様々な国の要職の方とお会いしてきましたが、それらとは全く次元が違うのです。お声を掛けていただく時も、配慮するとかそういうことではなくて、本当に何か『対話する』という感じでしょうか。関心をもって話して下さっているという感じを受けます。陛下とお話する時は、本当にスルスルと自然に言葉が引き出されているような感じがしました」 「会場で私が最初に『進行を務めさせていただく坪田です。よろしくお願いします』と申し上げたのですね。その時しか自己紹介していないのですが、陛下は私にお声を掛けられる時に『坪田さん』とおっしゃったのです。 陛下はお会いされる人のことを、しっかりお調べになっておられるのだと思います。過密スケジュールで、多くの人とお会いされる中でここまでお心遣いをなさるとは―本当に言葉になりません」(坪田氏) 天皇陛下は翌年のお誕生日に際しての記者会見で、以下のように述べておられた(平成30年2月21日)。 「昨年5月に雅子、愛子と共に観戦した車椅子バスケットボール選手権大会や、9月の国民文化祭・全国障害者芸術・文化祭の折りに見た車椅子ダンスパフォーマンス、10月の全国障害者スポーツ大会等で、障害のある方が日頃からのたゆまぬ努力の成果を出すべく一生懸命に競技に取り組む姿には、私のみならず、雅子も愛子も、深い感銘を受けました。障害者を始め、子どもや高齢者など、いわゆる社会的に弱い立場にある人々が、周りの人たちの支援も受けながら、社会の中で能力を発揮し、活躍できるような環境がつくりだされていくことが一層求められる時代だと改めて感じています」

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