• 高森明勅

自民党の「強さ」の秘密


自民党の「強さ」の秘密

民主主義国家の日本で、自民党が長期政権を維持しているのは、世界的にも極めて異例らしい。しかも、比較政治学が専門のハーバード大学准教授、ダニエル・M・スミス氏が他の大学の学者と一緒に、平成26年と同29年の総選挙で実地調査をした結果、自民党の公約は有権者に最も人気が無かったという。


スミス氏いわく、「自由民主党を支持している有権者の多くは、政策以外の理由で票を入れているということです。それは『利益団体に属しているから』『先祖代々、支持してきたから』といった理由かもしれませんし、『ほかの党のことをよく知らないから』『野党は信頼できない』といった消極的な理由かもしれません」と。


いずれにせよ、「世界中の民主主義国家を見渡してみても、『政策が最も支持されていない政党が選挙で勝ち続けていて、長期政権を維持している』という事例はほかにありません」。


では何故、自民党が選挙で勝ち続けているのか。スミス氏は4つの要因を挙げる。


その1。選挙制度。「(衆議院選挙の)小選挙区選挙では1人しか当選できませんから、大政党に有利です。仮に(その政党への支持が反映される)比例代表選挙で33%しか票を獲得できなくても、当選者数が多い小選挙区選挙に強ければ、過半数を獲得することができます」。実際に平成29年の総選挙では、自民党の比例区の得票率は33%。これに対し、立憲民主党20%、希望の党17%。両党を合わせると自民党より高い得票率だった。けれども結果は自民党の“大勝”。


その2。公明党の存在。「有権者の12~13%を占めるといわれる公明党支持者は、公明党の候補者がいない選挙区(公明党は近年の選挙で小選挙区に候補者を立てているのは8~10人のみ)では、自民党に票を入れることになります。つまり、自公連立であることが、自由民主党政権をますます強くしている」。


その3。共産党の存在。「日本共産党は公明党とは対照的に、多くの小選挙区に立候補者を出します。勝てないとわかっている選挙区にも、候補者を出すのです。これが野党側に票割れをもたらしています。…野党がそれぞれ単独の候補者を出せば出すほど、反自民の票は分散し、自公に有利になるのです」。


その4。投票率の低さ。平成29年は54%、同26年は53%だった。「日本の選挙は、国民の半分の民意しか反映していません。私たちの調査によれば、自由民主党の政策に賛同していない人は、選挙に行かない傾向が強く、自由民主党または公明党の支持者は、熱心に投票に行く傾向があることがわかっています」。


ちなみに、民主党が大勝した平成21年の総選挙での投票率は69%だった。以前、一種のレジスタンスとして「自発的投票拒否」を呼び掛けた知識人がいたが…。スミス氏は日本の政治の将来について、以下のように予測する。


「自由民主党の優勢を支えているのは、『小選挙区選挙に多くの議席が割り当てられている既存の選挙システム』『野党の分裂』『自公の連立』『低い投票率』の4つです。この4つのうち、いくつかが変わらないかぎり、自由民主党の優勢は続いていく」と。

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