• 高森明勅

米国青年が日本防衛の為に血を流す?


米国青年が日本防衛の為に血を流す?

杏林大学名誉教授で外交評論家の田久保忠衛氏は、親米派を代表する論客。先頃の日米安保条約の破棄を示唆するトランプ米大統領の発言をどう受け止められたか。


「いざというときに米国の青年は、専守防衛の日本を防衛してくれるとの依存心を、われわれは疑わなくなってしまった。日本の母親と同様に、自分の息子が他国防衛のために血を流すのを平然と見ている米国の母親がいるはずがない」


「6月25日にブルームバーグ通信は、大統領が私的会話で日米安保条約破棄の可能性に言及した、と報じた。そのあとで大統領は2回発言を重ねた。26日にFOXビジネステレビとの電話インタビューで、『日本が攻撃されれば、われわれは第3次世界大戦を戦うことになり、あらゆる犠牲を払っても日本を守る。しかし、米国が攻撃されても、日本はわれわれを助ける必要が全くない。彼らはソニーのテレビでその攻撃を見ていられる』と述べた。他国に安全保障の根幹を委ねた国家の欠陥を、これ以上痛烈に抉(えぐ)った大統領発言は前例がない」


「在日米軍の負担は他国より多額だから日本への不満は少ない、など自国に好都合な解釈は控えた方が賢明ではないか」


「軽々しい断定は慎まなければならないが、トランプ大統領の一連の発言には孤立主義的な響きを感じることがある。…長期的展望の中では日本を含む海外駐留米軍の漸減はあり得る」


「いまから22年前に、中国がユーラシア大陸で覇を唱える大国にのし上がり、米国との対立が深刻化する、と今日の事態を正確に言い当てたのはブレジンスキー元大統領補佐官であった。彼は事実上の米国の保護国として『準大国』になった日本が、米中両国の狭間(はざま)にあって大きなジレンマに陥ると予想していた。米国との同盟維持、軍事大国化、中国との関係緊密化の3つの選択でどれを選ぶかは自明だが、米最高指導者の発言を誤読してはならない」


トランプ氏の発言に対し、改憲派のはずなのに何故か、「事実ではない」と懸命に耳を塞ごうとした人々がいた。さすがに田久保氏は、そうした人々とは明確に一線を画しておられる。傾聴に値する発言だろう。


なお、日米同盟とは即ち対米従属という思い込みが広く浸透している。同盟維持派は「だから自主独立を目指すべきでない」となり、自主独立を目指す人々は「だから日米同盟は解消しなければならない」と短絡する。そうではなく、“普通の”同盟なら自主独立と根本的に矛盾する事はないはずだ。


Joseph Sohm / Shutterstock.com

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