• 高森明勅

皇太子殿下と「水」問題

皇太子殿下がブラジルにお出まし(3月16日から22日)。

「第8回世界水フォーラム」にご臨席の為だ。 19日のフォーラムでは開会式でのご挨拶の他、 「水と災害」をテーマにした会議で

「繁栄、平和、幸福のための水」と題して基調講演をなされた。


講演後の取材に対して

「水問題を解決することが、平和に繋がるという最近の世界の動き、 それを肌で感じました」

とおっしゃっている。


皇太子殿下は「水問題」の世界的な権威でいらっしゃる。 日本の国内では意外とその事実が知られていない (又はその事実の重要性が気付かれていない)のではあるまいか。 念の為に、国連「水と衛生に関する諮問委員会」 (2015年に最終会合)の委員だった尾田栄章氏の 証言を紹介する(ちなみに皇太子殿下は同委員会の名誉総裁を務められた)。


「世界水フォーラムは、1996年に設立された 『世界水会議』とホスト国が共催のかたちで3年ごとに 開催するもので、地球に暮らす人々すべてが水に対して関心を高め、 水問題解決に向けて具体的な行動が取られることを目的としています」


「国際機関や政府機関、NGO、専門家、民間企業、地方自治体、 農業従事者、労働者、子供や若者など水に関わるあらゆる分野の人々 が一堂に会し、知見や経験を共有することにより、参加者一人ひとり が問題解決のために行動を起こす場、それが『世界水フォーラム』です」


「急激な人口の増加や都市への集中、産業の発展は、世界各地で 水不足や水質汚染、洪水被害の増大などの深刻な水問題を引き起こし ています。

世界の半分が不衛生な水環境の下に置かれており、 水をめぐる国際紛争にまで至っている地域もあります。

さらに、地球温暖化による影響や新たな化学物質の脅威などもあり、 先進国を含めた世界の水が危機的な事態になろうとしています。 まさに21世紀は『水の世紀』なのです」


「私が非常に状況を的確に表しているなと思ったのは、 世界水会議の会長を務めているロイック・フォーション…という フランス人が、記者との会見で『(日本の)皇太子殿下のご存在は、 水の分野におけるオム・デタ…だ』と述べたことです。


『オム・デタ』という言葉は…政治家や現世のドロドロしたものを 超えた存在であり、国や国民のことを本当に思っている人物を言う …まさに、皇太子殿下は、『水という国』といいますか、 水の分野において、政治などを超越した立場から全体を導いて いかれるご存在なんだという説明をしていたのが印象に残りました」


「現地の人や世界から集まった参加者が殿下の存在に敬意を払い、 高く評価しているのはいうまでもありません。 しかし、日本ではどうもそれがうまく伝わっていないようです。 その点が、逆に世界の人たちには『信じられない』という感じ のようです。 実際、日本のジャーナリストが、 ある水問題の海外の専門家に 『海外での殿下の評価はどうか』と質問し、

『どうしてそんな質問をされるのか。 それは愚問というものだ。 殿下の高い評価は言わずもがな。 日本人だけが知らないのでは』 とやり込められる場面もありました」


「殿下は人と水との関係を非常に高い立場から、 日本の長い歴史をふまえて具体的な事例を示しながら お話になっています。

だから非常に示唆に富んだ、 政治的な立場を超えたところでのご発言として 世界の人に受け止められるのだと感じます」


「第1回アジア・太平洋水サミットに関しても 忘れられない光景があります。 その設立に向けて東京で開催された準備会合の折りに ご接見を賜りました。 アジア・太平洋地域の水の専門家たちが バスに同乗して東宮御所に伺ったのですが、 帰路には『我々はもっともっと頑張らなければならない』 と大変盛り上がりましてね。 殿下とお話できたことが同サミットの設立に 大きな力になっているのです。

勿論、殿下からあれをやろう、 これをやろうと言われるわけでは全くないのですが、 殿下とお話をさせていただく中で、 皆の胸中にある意欲や想いが かき立てられていくという感じなのです」

皇太子殿下のご存在の世界的な巨大さを、 日本人はもっと知るべきではないか。

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