皇位の継承に伴って必ず行われるべき
重要な儀礼として、古代以来の伝統を持つものが3つある。
〔1〕新しい天皇が神器(じんぎ)を受け継ぐ儀礼 (剣璽〈けんじ〉等承継の儀)
〔2〕高御座(たかみくら)に昇って
即位を宣言する儀礼(即位の礼)
〔3〕国民が育てた稲を天皇が皇祖(天照大神)に 奉(たてまつ)り、自ら共に食べる儀礼(大嘗祭)
これらの中で、〔1〕は、天照大神以来の系統(皇統)
と精神を正しく受け継いでいる事を確認する儀礼。
いわばタテ(時間)軸に関わる儀礼だ。
一方〔2〕は、
国民統合の中心である事を表示する儀礼。
こちらはヨコ(空間)軸に関わる儀礼だ。
しからば〔3〕はどうか。
伝統的な生業である稲作を媒介として、
皇祖―天皇―国民という国家の中軸をなす関係を、
祭式的に更新する儀礼。
タテ軸とヨコ軸を総括した儀礼と言えるだろう。
これらの儀礼を皇位継承の度(たび)に繰り返す事で、
時代の変化を越えて受け継がれるべき、
天皇の本質的な一貫性が担保される。