特例法「日限り」再読
- 高森明勅
- 2017年11月29日
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天皇退位と皇嗣即位が「別の日」とされている件。 私なりに改めて情報を集め、再検討した。
その結果、特例法第2条に「日限り」とある箇所に 注意すべき事に思い至った。 念のために条文を引用する。
「天皇は、この法律の施行の日限り、退位し、 皇嗣が、直ちに即位する」と。
で、その施行日は政令で定める(附則第1条)。
その場合、政令を閣議決定する前に、 皇室会議の意見を聴かなければならない(同第2項)。 これによれば、ある日(3月31日、4月30日など)に 同法を施行すると政令で決めたら、その「日限り」で天皇は 「退位」される事になる。
その日の午後12時まで在位され、 翌日になる“瞬間”に退位される。
一方、皇嗣は「直ちに」つまり“同瞬間”に「即位」される。
それが翌日の午前0時。 前日(例えば3月31日)の午後12時と 翌日(例えば4月1日)の午前0時。
同じ瞬間だ。
これならば、「空位」を生じない。 上皇と皇太子“だけ”の「天皇不在」の時間も現れない。
「別の日」問題は解消されるだろう。
但し、儀礼の執行はどうするか。
皇嗣即位の当日に「剣璽等承継の儀」などを 執り行われるのは当然。
一方、退位式のタイミングは? 同じ日に上皇として、「剣璽等承継の儀」に先立って、 前日限りで退位した事実を確認する形で、行われるか。
それとも、前日に天皇として、 この日限りで退位される旨を予め示される形で、行われるか。 熟慮を要するところだろう。