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憲法の意思、国民の意思、皇室の意思に背く旧宮家養子縁組案

執筆者の写真: 高森明勅高森明勅

憲法の意思、国民の意思、皇室の意思に背く旧宮家養子縁組案

皇位継承問題について菅野志桜里氏が、憲法の意思、国民の意思、皇室の意思から余りにもかけ離れている国会の現状を、鋭く批判されている。まさに正鵠を射た指摘だ。

ここで思い起こされるのは、旧宮家系子孫男性の養子縁組プランを推進して来た竹田恒泰氏の発言だ。

彼は自分の著書で、養子縁組プランの「課題」を列挙した(『なぜ女系天皇で日本が滅ぶのか』)。その中で、「内閣法制局·宮内庁からの妨害の防止」を挙げているのは興味深い。

内閣法制局は、今も養子縁組が憲法違反である疑いを払拭できないまま、懸命に無理筋の擁護論を展開している。これは既に「妨害を防止する」強力な政治圧力が働いていることを想像させる。

だが元々、竹田氏が内閣法制局を警戒し、敵視していたのは何故か。養子縁組プランが「憲法の意思」に反することを、予め自覚していたからに他ならないだろう。

次に、「宮内庁からの妨害」も予想していた事実は、見逃せない。

皇室のご意思を体し、皇室をお支えすべき立場の宮内庁が、全く独断で養子縁組プランに反対する理由はないし、勿論そのような独断専行は許されない。竹田氏も、その程度のことすら知らないとは、さすがに考えにくい。

従って宮内庁の独断専行ではなく、「皇室の意思」自体が養子縁組プランの「妨害」になる。なので、それを「防止」しなければならない、というスタンスとしか考えられない。不敬この上ない。

又、 「予想される批判」として「国民の理解、支持を得られるのか」という点を挙げている。これへの回答は至って率直だ。「そもそも国民の理解·支持を得る必要はない」と。

養子縁組プランが「国民の意思」とはかけ離れている事実も、ちゃんと理解できているということだ。

要するに、養子縁組プランを推し進めようとしている竹田氏は、このプランが皇室の意思、国民の意思、憲法の意思に背くことを、ちゃんと自覚しているようだ。それでも敢えて推し進める理由、動機は何か。

この点に関わって、「男系男子はいずれ行き詰まる」という根源的な批判も、逃げないで真正面から取り上げている。それは感心だ。しかし、反論(?)は以下の通り。

「実際に将来行き詰まるかどうかは無関係」…どうやら、「男系男子はいずれ行き詰まる」ことも、普通に理解できているようだ。しかし、彼にとって、皇位の継承、皇室の存続が「実際に将来行き詰まるかどうかは無関係」だと。

それとは「無関係」に、皇室の意思、国民の意思、憲法の意思に明らかに背く養子縁組プランを、断固として推し進める。そういう態度らしい。こうなると、動機はますます謎だ。

しかし、国会がそのプランを目くらましの“飴玉”とはいえ、検討材料の1つに加えているのは情けない。


▼追記

YouTube「ユリコの森」チャンネルに出演した皇位継承問題を巡る過去編·現在編·未来編の3本が全て公開された。


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