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憲法と皇室典範の齟齬

  • 執筆者の写真: 高森明勅
    高森明勅
  • 2018年7月22日
  • 読了時間: 2分

安定的な皇位の継承。

圧倒的多数の国民はそれを望んでいるはずだ。

天皇陛下のご譲位を巡り、各種の世論調査で一貫して、

約9割の国民がご譲位の恙無い実現を願ったのも、

その確かな証左だろう。

しかも、それは憲法の要請でもある。

憲法は、天皇を日本国及び日本国民統合の“唯一”の「象徴」と規定。

その安定的な「世襲」継承を前提として、

13種類の重大な「国事行為」を定める。

国事行為の委任や摂政の規定をわざわざ設けている事実からも、

憲法が予想する国家秩序において、天皇の役割がいかに重大か、

十分に察する事が出来る。

ところが憲法に付属する皇室典範では、

奇妙な事に皇位の継承を困難にする制度が、

敢えて採用されている。

明治の皇室典範で、皇位の継承資格を前例の無い

「男系の男子」に限定した時、既に将来への懸念が表明されていた。

皇位継承の安定性が損われかねない、と。

しかし、その時は「側室制度があるから」

「庶出(非嫡出)にも継承資格を認めるから」

という理由で、そのまま制度化された。

しかるに現代はどうか。

既に側室制度は無い。

今の典範自体も非嫡出の継承資格を認めない。

にも拘らず、明治典範と同じ限定が維持されている。

これでは皇位の継承は不安定化する以外にない。

現に、皇太子殿下・秋篠宮殿下の“次”の世代で

継承資格を持つのは、悠仁親王殿下お一方のみ。

憲法と典範が致命的に不整合。

ならば憲法の要請に従って、

付属法の典範を改正するのが当然だ。

現在までそれが先送りされ、 放置され続けて来たのは、

極めて異常と言う他ない。

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