• 高森明勅

天皇として最後の一般参賀

和歌を詠(よ)む方々のミニコミ紙 「あづま通信」(不二歌道会千葉県支部)を毎号、 送って戴いている。 その最新号(351号)に、 若い教師H氏の次のような和歌が掲載されていた。 今年2月の「月例歌会」で詠まれたものの1首。 国民の 声に応へて 幾度(いくたび)も いでまし給(たま)ふ 御(み)手振り給ふ (原文は正字、一行書き) 今年1月2日に、皇居で行われた新年一般参賀の際の、 天皇陛下のご様子を詠んだ和歌だ。 この時は、天皇陛下にとって「天皇」として 最後の参賀になる。 なので、例年を遥かに上回る、 大勢の国民が参賀に詰めかけた(平成最多の15万4800人)。 その為、天皇陛下の思(おぼ)し召しによって、 お出ましの回数をご予定(5回)より1回、増やされた。 でも、まだ溢れた人々がいた。 そこで格別のお計らいにより、 お疲れにも拘らず、 更にもう1回お出まし下さった(計7回)。 その事を「幾度も」と詠んでいる。 有難いとも、嬉しいとも、 自分の気持ちは一言も詠み込んでいない。 だが、それを露(あらわ)に詠んでいないからこそ、 一層深く作者の思いが伝わる。 「いでまし給ふ」 「御手振り給ふ」と 畳み掛けている辺りに、 作者の気持ちが滲(にじ)み出ている。


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