12月25日には皇室祭祀として「大正天皇例祭」が執り行われる。第123代、大正天皇のご命日(崩御〔ほうぎょ〕相当日)だ。小祭ながら、天皇・皇太子以外に皇族方も、 大祭と同様にお出ましになる。 大正天皇が崩御されたのは、大正15年(西暦1926年)のこの日だった。謹んで御製(ぎょせい、和歌)を1首、掲げる。 かきくらし 雨降り出(い)でぬ 人心(ひとごころ) くだち行く世を なげくゆふべに 大正9年の御製。
天皇は、当時の人心(じんしん)の堕落を深く嘆いておられた。
ある夕べ、そのお嘆きに暮れておられると、一天(いってん)俄(にわか)にかき曇り、強い雨が降り始めた。神々も天皇のお嘆きに感応したのであろうか。その時の感慨を和歌に託されたもの。大正天皇の御製については、つとに「天性無垢で高貴」(高橋睦郎氏)と評されている。
又、歴代天皇の中でも取り分け多くの御製詩(漢詩)も詠(よ)まれた。
ここでは、「平安初期の嵯峨・淳和(じゅんな)の帝(みかど)を連想するほど、大正天皇は漢詩に堪能だった」(岡野弘彦氏)とされている事実のみを紹介しておく。
Comments