フランスの歴史人口学者、エマニュエル・トッド氏。
最近、日本が核兵器を保有すべき事を、再び訴えている。
「米国は、核兵器を持った相手(北朝鮮)とは交渉し、
核兵器を諦めた相手(イラン)には攻撃的に出ている。
…『米国と和平的交渉をしたいならば、核兵器を持った方がいい』
というメッセージを全世界に向かって発しているも同然です。
米国は、核拡散を奨励する外交を展開している」
「イラン核合意の破棄は、意図せずとも、
北朝鮮にはこれ以上ないほど直接的なメッセージとなって伝わります。
イランは合意を順守していたのに、米国はそれを一方的に破棄した。
この様子では、米国の言うことは信用できない、と」
「もし北朝鮮の指導者がバカでなければ…
米国を決して信用しないでしょう。
…このままでは北朝鮮は決して核兵器を捨てようとは
しないはずです」
「核は例外的な兵器で、これを使用する場合のリスクは極大です。
ゆえに、核を自国防衛以外のために使うことはあり得ません。
例えば、中国や北朝鮮に米国本土を核攻撃できる能力が
あるかぎりは、米国が、自国の核を使って日本を護る
ことは絶対にあり得ない。
…要するに、『米国の核の傘』はフィクションにすぎず、
実は存在しないのです」
「私は平和を愛好する者であり、 フランスではラディカルな左翼と目されている者ですが、
核保有によって平和と安全を確保しているフランスの人間
として、そして日本の友人として、日本もみずからの安全
を確保するために核保有を検討してもいいのではないかと
思った」
「米国の狂乱状態は単なるアクシデントや偶然というより
構造的なもので、恒常的に続く可能性が高いと思います。
つまり、米国は、信頼できる安定勢力ではなくなりつつある」
「核の保有は、攻撃的なナショナリズムの表明でも、
パワーゲームのなかでの力の誇示でもありません。
むしろパワーゲームの埒外(らちがい)に自らを置くこと
を可能にするのが核兵器です」と―。
傾聴に値する発言だろう。