
憲法と「平等」
「平等」(一般的には、差別することなく、 同じように扱うこと)とは何か。 この疑問に丁寧に答えようとする場合、 差し当たり憲法が「平等」をどのように 位置付けているかが、一つの参考になろう。 そこで、いくつか参照すべき憲法学者の発言を紹介する。 「法の下の『平等』とは、各人の性別、能力、年齢、財産、職業、 または人と人との特別な関係などの種々の事実的・実質的差異を前提として、 法の与える特権の面でも法の課する義務の面でも、 同一の事情と条件の下では均等に取り扱うことを意味することである。 『平等』とは絶対的・機械的平等ではなく、 相対的平等だと言われるのは、その趣旨である。 したがって、恣意的な差別は許されないが、 法上取扱いに差異が設けられる事項(たとえば税、刑罰) と事実的・実質的な差異(たとえば貧富の差、犯人の性格) との関係が、社会通念からみて合理的であるかぎり、 その差別的取扱いは平等違反ではないとされる」 (芦部信喜『憲法〔新版〕』) 「人権の中核的価値である個人の尊厳は、 当然に、諸個人の平等を要請する。 この自明のことがらをあえて