高森明勅
2017年12月22日2 分
「天皇誕生日」に際してのおことば。
ご譲位について次のように触れておられた。
「この度、再来年4月末に決定した私の譲位については、
これまで多くの人々が各々の立場で考え、
努力してきてくれたことを、心から感謝しています」と。
ハッと胸を打たれた。
皇后陛下は先頃、ご自身のお誕生日に当たり、
ご譲位を巡って次のように仰っていた。
「陛下の御譲位については、多くの人々の議論を経て、
この6月9日、国会で特例法が成立しました。
長い年月、ひたすら象徴のあるべき姿を求めて
ここまで歩まれた陛下が、御高齢となられた今、
しばらくの安息の日々をお持ちになれることに
計り知れない大きな安らぎを覚え、
これを可能にして下さった多くの方々に
深く感謝しております」と。
ご譲位を可能にする法整備のプロセスについて、
詳しくご存じでいらっしゃる事が如実に窺える。
「人々」と「方々」という厳格な区分もされていた。
私なぞはそれぞれ、
政界及び民間の具体的な個人名さえ、
何人かずつ浮かんでくる。
実に細やかなお心の配り方だ。
まさに皇后陛下ならでは。
この度の陛下のおことばは、
そうした経緯を委細ご存じの上で、
「多くの人々が各々の立場で考え、努力してきてくれた」と、
大きく包み込んでおられる。
陛下のお気持ちに背こうと企(たくら)んだ、
一握りの国民から孤立した者どもさえ、
温かく抱き締めるようなおことばだ。
果てしない寛大さ。
「国民統合の象徴」とは、
このようなご存在なのか。