高森明勅

2017年12月23日1 分

大正天皇例祭

12月25日には皇室祭祀として「大正天皇例祭」が執り行われる。第123代、大正天皇のご命日(崩御〔ほうぎょ〕相当日)だ。小祭ながら、天皇・皇太子以外に皇族方も、
 
大祭と同様にお出ましになる。
 

 
大正天皇が崩御されたのは、大正15年(西暦1926年)のこの日だった。謹んで御製(ぎょせい、和歌)を1首、掲げる。
 

 
かきくらし
 
雨降り出(い)でぬ
 
人心(ひとごころ)
 
くだち行く世を
 
なげくゆふべに
 

 
大正9年の御製。

天皇は、当時の人心(じんしん)の堕落を深く嘆いておられた。

ある夕べ、そのお嘆きに暮れておられると、一天(いってん)俄(にわか)にかき曇り、強い雨が降り始めた。神々も天皇のお嘆きに感応したのであろうか。その時の感慨を和歌に託されたもの。大正天皇の御製については、つとに「天性無垢で高貴」(高橋睦郎氏)と評されている。

又、歴代天皇の中でも取り分け多くの御製詩(漢詩)も詠(よ)まれた。

ここでは、「平安初期の嵯峨・淳和(じゅんな)の帝(みかど)を連想するほど、大正天皇は漢詩に堪能だった」(岡野弘彦氏)とされている事実のみを紹介しておく。

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